角膜内皮細胞について

みなさん、こんにちは。

暖かい日も少し増えてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

風邪等には十分気をつけてくださいませ。

今回のテーマは角膜内皮細胞です。

コンタクトを使っている方、他にも将来することになる白内障手術に関わってくる大切な細胞です。

角膜内皮細胞って何?

角膜は黒目の上にある透明な組織のことで、コンタクトをいつものっけている部分になります。

角膜は5層構造になっており、

外側から角膜上皮層、ボーマン膜、角膜実質層、デスメ膜、角膜内皮層の順で並んでいます。

角膜の一番内側にあるのが角膜内皮細胞です。

角膜内皮細胞は入ってきた水をくみ出す役割があり、そのおかげで角膜の透明性が保たれるのです。

重要なことは、角膜内皮細胞は死ぬと二度と再生することはないということです。

つまり、なくなったらそれで終わりということになります。

角膜内皮細胞が減少したらどうなるの?

成人の角膜内皮細胞の数は3000個/㎟ですが、これが500個/㎟以下になると角膜が混濁し、視力が出なくなります。角膜内皮細胞は、加齢によって少しずつ減っていきます。他に、コンタクトを装用することでも減っていきます。

角膜内皮細胞は再生能力がありませんので、こうなると、角膜移植をするしかなくなります。

また、角膜内皮細胞が減ってしまうとコンタクトが装用できません。コンタクトをすることによって、減っている角膜内皮細胞がさらに減ってしまう可能性があります。

それ以外にも、将来白内障手術を受けることができなくなります。白内障は老化現象ですので、多くの方は水晶体が白く濁ってきて視力が低下し、手術を受けることになると思います。手術をすることで再びクリアな視界が得られますが、角膜内皮が少なく混濁していると、手術を受けたとしても、思ったように視力の回復は望めないかもしれません。

また、手術をすることで、角膜内皮も多少のダメージは受けますので、手術を受ける段階で十分に角膜内皮細胞が残っていることが大切になります。

角膜内皮細胞を減らさないために

角膜内皮細胞は粗悪なコンタクトなどの長時間、長期間使用でもダメージを受けます。

最近のコンタクトは酸素透過性の優れたものも多くでていますので、コンタクトを選ぶときには眼科で合ったものを選ぶと良いと思います。

角膜内皮は減ったら増えませんの目を労わって大切にしましょう。

 

 

 

外斜位

みなさん、こんにちは。 最近、学校の検査で「外斜位」と書かれた紙を持ってきていただくお子様が増えてきましたので、今回のテーマは外斜位です。

斜位とは

両目で見ている時には、視線のずれはない状態ですが、片目を隠すと斜視のように、隠した方の目だけよそを向いてしまう状態です。よそにいってしまう目は、人によって外であったり、内であったり、上や下にいくこともあります。 目が動いてしまう方向によって、外斜位、内斜位、上下斜位など呼び方が変わります。 一般的に二人に一人くらいは斜位を持っていると言われています。眼科ではそれほど特殊なものではなく、多くの人は斜位を持っていることが多いです。 斜位の中では、最も外斜位がよく見られます。 では、最も多い外斜位についてもう少し症状に説明していきたいと思います。

外斜位の症状

外斜位と言うと、目が外側に行きやすい状態ですので、本を読んだり、パソコンをしたりなど近くの作業をする際は、疲れやすいことがあります。特に、近くを見る時には両目を内側に寄せる必要がありますので、外の方に目が行きやすいと、目の位置がまっすぐの人よりも余計に力を使わないといけなくなります。 そのために、知らず知らずの内に眼精疲労になってしまうこともあります。 しかし、外斜位と言っても人それぞれ程度が違います。 片目を隠されると大きく外に外れてしまう人もいれば、ごくわずかにしか外れない人もいます。 外斜位があるからと言って、すべての人が疲れを感じたりするわけではありません。 ただ、目の位置ずれが大きい場合は目がまっすぐに戻りにくくなって、時々外れてしまう斜視に移行することもあります。

外斜位と言われたら

日常に支障を感じていなければ、経過観察で特に治療しないこともあります。 しかし、眼精疲労を感じていたり、目の位置ズレが大きかったり、ズレやすい場合などは適切なメガネを処方することがあります。 ご自身では、斜位なのか、斜視なのか区別しにくいと思いますので、気になる方は眼科の受診をおすすめいたします。

健康診断

結膜下出血って何?

みなさん、こんにちは。

今回のテーマは結膜下出血です。

結膜下出血とは

白目が出血した状態のことで、日常的によくある疾患です。

白目が急に赤くなって出血したようになった経験がある方も多いのではないでしょうか。見た目は派手なので、驚いてしまうことがあるかもしれませんが、実際にはほとんど痛みもなく、自然治癒するものなので深刻な病気ではありません。

 

結膜下出血の状態も点状の小さなものから、結膜全体を覆うようなものまで様々です。

原因

原因不明の特発性のものがほとんどで、何とははっきりとわからないことが多いです。

瞬きの時の摩擦が原因であったり、乾燥、咳、くしゃみなど些細なことがきっかけとなって出血することもあります。

結膜下出血

治療

結膜下出血の治療は特にありません。

結膜下出血を早く治す目薬もないため様子を見る、ということになります。

血が吸収されてなくなるまで1~2週間かかりますが自然治癒します。

日常生活に制限もないので普段通りに過ごしていただいて大丈夫です。

 

 

心因性視力障害

こんにちは。

じめじめする季節になりましたね。

寒い日も多いので、体調に気をつけてお過ごしください。

さて、今回のテーマは心因性視力障害についてです。

心因性視力障害とは

視力低下の多くは遠視や近視、乱視など屈折異常が原因で、適切な度数のメガネをかけることで視力が出ます。

心因性視力障害は、日常生活における心理的ストレスや社会的ストレスによって、一時的に視力が低下してしまう状態です。メガネで視力を矯正しても視力はでません。

検査をしても目の病気など、悪いところも見つからない場合、心因性の視力障害が疑われます。このような症状は8才~12才頃の子供に多く見られ、女子は男子の3倍多く見られます。

視力だけではなく、視野の異常や色覚異常、夜盲などの他の眼の症状も伴うこともあります。

心因性視力障害の原因

心因性視力障害はなんらかのストレスによって引き起こされます。

そのストレスの原因が明らかになることもあれば、わからないこともあります。

家庭内や学校での出来事や思い付きにくいような些細なきっかけで視力障害になることもあります。その他に、メガネをかけたいという願望によっても視力障害になることがあります。メガネ願望の場合には、度なしのメガネをかけることで視力が改善します。

心因の原因は様々です。

 

心因性視力障害の検査

当院では、視力検査、視野検査が主な検査になります。

遠視、近視、乱視の適切な度数を入れても視力が出ず、他に目の異常がない時、心因性を考えます。そして、遠視のレンズ(+レンズ)と近視のレンズ(-レンズ)を組み合わせて、メガネ度数を0にして検査する、トリック法という検査方法で視力が出ることがあります。

視野検査では、求心性視野狭窄という視野が極端に狭い状態だったり、検査時間が経つにつれて見える範囲が狭くなっていく、螺旋状視野という特徴的な視野を検出できることがあります。

他に、目の表面や網膜の状態も見て異常がないかも確認します。

健康診断

心因性視力障害の治療

心因性視力障害で、失明することはありません。

子供の頃におこる一時的なものです。

ストレスの原因を取り除くことが大切ですが、難しいことが多いので、長期的に経過を見ていく必要があります。

しかし、必ず良くなるのであまり心配しすぎないようにしましょう。

 

眼圧検査で何が分かるの?

みなさん、こんにちは。

暖かい季節が近づいてきましたね。

今日のテーマは「眼圧検査」についてです。

眼圧って何?

眼科の検査室で、風が目にプシュッとあたる検査をされたことがあると思います。

その機械で眼圧を調べています。眼圧測定器

眼圧とは目の中の圧力のことで、わかりやすく言うと目の硬さのことです。

目の内圧は、房水という水が目の中を流れることによって保たれています。

それによって、眼球は丸い形になっています。

 

房水の役割について

房水は、眼球の中の透明で血管のない組織(角膜や水晶体)に栄養を送る役割を担っています。

眼圧で何が分かるの?

眼圧の正常値は10~21mmHgといわれていますが、眼圧が高くなる病気がいくつかあります。それらの早期発見のために眼圧は視力と同様に大切な検査です。

代表的なものとしては、緑内障です。房水は毛様体で産生されて繊維柱帯、シュレム管から排出されます。繊維柱帯を通る房水の量が多いと眼圧は下がりますが、上手く流れていかない場合、眼圧が上昇します。その結果、神経線維がダメージを受け、すり減っていきます。

ただし、緑内障で必ず眼圧が高くなるわけではなく、緑内障患者の多くは正常眼圧です。それでも、眼圧を下げることが有効な治療法で、進行を遅らせることができます。

緑内障はかなり進行するまで自覚できないので、早期発見のためには眼圧のチェックが重要です。

また、高眼圧症のように、眼底や視野には異常はないが、眼圧だけが高い、という症状もあります。高眼圧症では緑内障に移行する可能性もあるので定期的な検査がおすすめです。

その他にも、ステロイド緑内障というものもあり、ステロイド薬を使用していると、眼圧があがってしまう場合があります。

全員の眼圧が上がる訳ではなく、体質などで上がりやすい人がいます。

薬を使う前にはわからないので、定期的に眼圧を測ってチェックする必要があります。

眼圧が高いと、目のかすみや痛みなど、自覚症状が出る場合もありますが、気づかないこともありますので、眼圧検査は大切な検査となっています。

ドライアイってどんな病気?

みなさん、こんにちは。

乾燥する季節になってきましたので、

今回のテーマは「ドライアイ」です。

ドライアイって何?

ドライアイとは簡単に言ってしまうと、目の表面が乾燥することで、角膜や結膜に障害が生じ、様々な症状を引き起こす病気です。例えば、目が疲れる、ゴロゴロする、見えにくい、痛み、充血などの症状があります。

1985年頃日本で疾患の概念が導入され、現在では潜在的な患者数は800万人にのぼるといわれています。コンタクトレンズ装用、スマートフォン、パソコン、高齢化社会で今後も患者数がますます増えると予想されています。

ドライアイの原因

なぜ乾いていくるのかというと、涙の分泌が少ない、または、目の表面の涙の層を維持できないくらい涙の蒸発が早すぎる、という場合もあります。

一般的に涙の分泌量は年齢とともに減っていきますので、年齢を重ねるとドライアイ患者も増えていきます。特に、男性より女性の方が多くなっており、これには女性ホルモンが深く関わっています。30~40代で女性ホルモンが減少してくると乾きを感じやすいと言われています。

また、ドライアイは環境要因も大きく関わっており、パソコン作業、コンタクトレンズ、エアコン、乾燥した部屋での作業などもドライアイの原因となります。

ドライアイの治療

主な治療法は点眼液、もしくは涙点プラグによる涙点の閉鎖です。

ドライアイの目薬は、涙液の不足を補うような目薬(ヒアレイン、ティアバランス等)と、涙のムチン(涙の安定性を高める)を産生し、質を正常化させるムコスタ点眼液、それから、涙の量、質、両方に働きかけるジクアス点眼液などがあります。

点眼で症状が改善されない場合は、涙点プラグを涙点に挿入し、涙の排出口を塞ぐことで涙を目に留めます。人口涙液よりも高い効果が得られやすいです。目薬点眼

 

ドライアイは軽度なものから重度なものまであり、検査してみるとシェーグレン症候群などの重症ドライアイを引き起こす病気であることもあります。

ドライアイのような症状が思い当たる、ひどくなってきた、など気になることがある場合は早めに眼科を受診しましょう。

 

 

 

 

 

 

白内障とは?

みなさん、こんにちは。

寒くなってきましたね。体調に気をつけてお過ごしください。

さて、今回のテーマは白内障です。

白内障とは?

目の中には水晶体と呼ばれる透明なレンズが入っています。水晶体が光を通して網膜に像を映し出します。この水晶体が濁ってきて、光が通らなくなり見えにくくなるのが白内障です。

水晶体が濁ってくると、かすんだり、物が二重になったり、まぶしく感じるなどの症状がでてきます。

白内障の原因で最も多いのが加齢によるもので老人性白内障と呼ばれます。

老人性白内障は、目の病気というよりは、一種の老化現象と言えます。早い人では40代から白内障が現れることもあります。

加齢性以外のものでは、先天性のもの、アトピー、外傷、虹彩毛様体炎などの炎症に続いて起こるものなどがあります。

白内障の治療

一度濁った水晶体は元の透明な状態には治りません。

そこである程度進行したら、手術で濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的です。

また、白内障がごく初期の状態では、目薬で進行を遅らせることができる場合もあります。目薬で白内障を治したり、完全に進行を止めることはできません。

手術方法について

手術は局所麻酔で行います。黒目と白目の境に3mmの傷口をつくり、その穴から管を挿入します。

水晶体を超音波で砕いて、掃除機のように吸い取ります。そして、また3mmの穴から人工レンズを入れ込みます。

手術時間は10~20分程度と短く、日帰り手術も多いです。

かといって、短く簡単で100%安全な手術というわけではありません。やはり外科的な処置を行うことになりますので、手術の合併症が生じ、重篤な視力障害が残る可能性もありますで、よく医師と相談して決めてください。

また、白内障がかなり進行し、砕くのが難しい場合にはほかの手術方法になることもあります。

白内障術後は安定するまで数週間~数か月かかることがあります。今まで使っていたメガネの度数が合わなくなっても、安定するまでは様子を見ます。

後発白内障について

術後、眼内レンズの後方(後嚢)が濁ってくる場合もあり、その場合はレーザーで処置することもあります。

 

見えにくくなってきた、かすむ、白内障かな?と思ったら、早めに眼科の受診をおすすめします。

 

 

先天性赤緑色覚異常について

みなさん、こんにちは。

残暑が厳しい時期になりましたね。

最近、学校での色覚検査の再検査での来院の方も多いので、今回は先天性の色覚異常についてのお話です。

色覚異常って何?

色覚異常とは、多くの人とは色の見え方が異なることです。

通常、網膜には3種類の錐体細胞があり、これが働くことによって、脳に色の情報を伝え、色の感覚が起こります。

この錐体細胞には、赤に反応するもの、緑に反応するもの、青に反応するものがそれぞれあり、色の3原色の組み合わせによって様々な色を認識できます。

先天性色覚異常の場合、これらの3つの錐体細胞の内、どれかが機能していなかったり、機能していても不十分な状態を指します。

先天性色覚異常はその程度や、異常のある錐体の種類によって、名称が細かく分かれていますが、中でも、特に多いものがいわゆる先天性赤緑色覚異常です。

先天性赤緑色覚異常とは

学校の再検査などで異常が見つかる場合も多くはこの種類の色覚異常です。

これは、赤や緑に反応する錐体細胞に異常が見られるものを指します。

先天赤緑色覚異常では色がわからないとか、白黒に見える、ということではなく、見分けにくい色の組み合わせがいくつかある状態です。

例えば、赤と緑、オレンジと黄緑、ピンクと水色、赤と黒、青と紫などの色が見分けにくいと言われています。

どの色を間違えやすいのかは個人によって差があるので、理解することが

大切です。

また、色覚以外の視力や立体視などは正常です。見えなくなる、ということもありませんので、間違いやすい色を認識し、対策を講じることが重要です。

どんな検査をするの?

当院では、石原式色覚検査表とパネルD15という2つの検査をして、診断を行います。

石原式色覚検査では正常かそうでないか、おおまかに振り分けます。

パネルD15テスト(色相配列検査)ではどんな種類の色覚異常か、ということを詳しく検査していきます。

 

色覚異常は、職業によっては制限があります。就職活動時に初めて発覚することもありますので、色覚異常かどうか気になる方は早めに眼科を受診することをおすすめします。

視神経乳頭陥凹拡大って何?

みなさん、こんにちは。

梅雨に入ってじめじめする季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

本日は視神経乳頭陥凹拡大についてです。

視神経乳頭陥凹拡大とは

健康診断や人間ドッグなどで視神経乳頭陥凹拡大、と書かれていることがあります。

視神経乳頭陥拡大とは簡単に言うと、緑内障に見られる所見の一つであり、緑内障の疑いがあるということです。

視神経乳頭は目の中にある、視神経や血管が通っているへこんだ部分のことで、誰にでもあります。

このへこみが標準より大きいと視神経乳頭陥凹拡大と診断されます。

視神経乳頭陥凹拡大と言われたら

視神経乳頭陥凹拡大と言われても、必ずしも緑内障とは限りません。

生まれつき、このへこみが大きいこともあり、その場合特に治療はありません。

緑内障は視神経乳頭陥凹拡大の他、特徴的な視野異常が現れます。

視野異常が見られない場合、経過観察となることが多いです。

緑内障かそうでないかはいくつかの検査によって総合的に診断され、視力検査、眼圧検査、視野検査、OCT、眼底検査などの検査が必要になります。

もし、視神経乳頭陥凹拡大と診断されたら、はやめの受診をおすすめします。