子供に眼鏡をかけさせるべきか。

様々な家庭教育がなされる中で、個性多いお子さんが当院にも沢山来院されます。そこで、お子さんの眼鏡についての質問でよく受ける2つの内容について検証してみます。

1つめは「眼鏡は何歳の子供から掛けられるのか?」

これは何歳という決まりはありません。よぼどの治療的要素があっての事でなければ、平均的には3歳くらいから自然に眼鏡の装用ができると言われています。3歳に満たなくても、その子が便利で使ってみたいなどと興味を持った場合は、2歳くらいでも使用できるようです。我が子に眼鏡をかけさせたくない、またお子さん自身も眼鏡をかけたくない等いろいろ事情はあるようですが、必要な視力が確保できないのは生活上において大変不便なことです。

また、意思表示がうまくできない小さなお子さんの場合はご家族の方がちゃんとお子さんの視力に問題がないのか、気にしてあげる必要があります。特に3歳児健診などで視機能異常の指摘を受けた場合は、放置せずに必ず精密検査を受けるようにしてあげてください。

もう1つは、「無理にでも眼鏡はかけさせるべきか?」という点です。

結論から言えば、無理にでもかけさせる必要があるケースが存在します。

一般的に目が悪いというと近視の子を対象に言われているかと思います。学校からのプリントで、視力判定BとかCとかは、近視の状態の子がほとんどです。こういったケースの場合は、生活上不便がないいようなら無理にかけ続けさせる必要はありません。例えば、黒板が見えにくいときだけ使うなどで十分です。成長期のむやみな眼鏡の装用はお勧めしません。

しかし、眼科的に見逃せないのは遠視の子のほうです。斜視や弱視の原因にもなり、成人したときには調節力の低下にともない、相当の眼精疲労をもたらすようになります。検査をすればわかる事ではありますが、日常生活の中でも強度の遠視の子にはいくつかの行動パターンがあります。

日常生活をよく観察してみてください。次のような事が思い当たりませんか?

・瞬きを異常なくらいする。
・他の子に比べて、落ち着きが少ない。
・飽きっぽい、諦めが早い。
・目を細めながら物を見る。
などが一般的な行動パターンです。

少しでもおかしいなと思ったら眼科を受診して状態を確認するようにします。測って何事もなければそれで安心できますし、異常が見つかれば早期発見は重大な疾患を未然に防ぐことにもつながります。そして、強度遠視のお子さんは常時眼鏡を掛け続けさせてください。眼鏡には、コンタクトレンズと違い容姿的コンプレックスを持ったり、煩わしさを感じて掛けていたくないと思ってしまう子もいます。気がついたら眼鏡を外してしまっていたりすると、治療の効果が期待できなくなってしまいます。遠視の場合は「治療のため=薬を飲むようなもの」と割り切って、必要な眼鏡は必ず掛けさせるようにしてください。目が見える世界って素晴らしい事だということをお子さんに是非教えてあげてください。

侮れないドライアイ

ドライアイ症状って、悩みます。

何をしていても、シパシパと目が乾く・・・
ゴロゴロするし、充血する、疲れやすい。などなど一定ではない症状をきたします。
一日に何度も目薬をさしたり、大変です。

では、涙はどのようなものなのでしょうか?
涙は、ムチン・水層・油層の3層からできていて、目を傷や異物、バイ菌から守る働きをしています。また、目に酸素や栄養分を運ぶのも涙の役目です。

そして、「主涙腺」と「副涙腺」というところから分泌されています。
主涙腺からの分泌は、反射性分泌と言われていて、目の刺激や感情によって涙が流れます。例えば、映画とかを観ていて、感動したりする時に出るものです。

対して、副涙腺からの分泌は基礎分泌と言われます。 規則正しく一定の割合で分泌され、まばたきをすることにより、目の表面の乾燥を防ぐ働きをします。

この基礎分泌が足りなくなると、「ドライアイ」という症状が起こります。

 

治療法としては、人工涙液やらの目薬を頻繁にさして、目の表面を乾かさないようにするのが一般的です。ソフトコンタクトレンズを使っている方は特に、レンズに涙を吸い取られますので、注意してください。他にも、涙点プラグといったものを挿入したりする処置もあります。

 

ここで気をつけてみてほしい点があります。
「ただのドライアイだわ~」と気楽に考えていたのに、
全く別の病気からの影響の場合もあります。

「シェーグレン症候群」
と呼ばれる免疫の異常による全身病です。

この病気の場合は、涙の分泌だけではなく、唾液・胃・気道など全身の分泌が減少し、炎症を起こします。 目に関していえば、5割弱の確率で両目の涙腺が腫れたりもします。

どの年代にも起こりうるものですが、特に40歳以上の女性に多く、患者さんの割合では9割を占めているいう統計があるそうです。

症状も徐々に進行していくタイプのものですので、日頃からの定期健診が大切です。

 

黒目に血管はあると思いますか?

鏡をのぞきこんで白目の部分をよく見てみましょう。赤い毛細血管が見えると思います。これは当たり前のことなので、心配することはありません。

しかし、ソフトコンタクトレンズを長時間
使い続けている方の眼をみてみると・・・・

えっぅ!!血管がこんな角膜(黒眼部分)にまである!!という方が
いらっしゃいます。

そもそも血管は、酸素や栄養素を運ぶ大切な役割がありますが、
角膜 は物を見るために、透明でなければならない組織です。
ましてや、血管なんてあったら大変なことになりますよ!

元々は血管などないのが正常ですが、
眼の酸素不足状態が続くと、酸素を取り入れようと、血管が角膜にまで
伸びてしまいます。
これは「角膜血管新生」と呼ばれ、ソフトコンタクトを長時間使い、眼の
酸欠状態が続いていると起こります。
角膜中央部に向かって、血管が伸びていきますので、放置し続けると
失明の恐れがあります。

また、自覚症状は全くと言ってよいほどありません。
視力が徐々に低下して、気づいたときには、かなり悪化している状態に
なっているはずです。

こういうタイプの眼の疾患は、ともかく ”予防” が重要です。

ソフトコンタクトではなく、ハードコンタクトや眼鏡に切り替える。
ソフトしか使えそうもないなら、酸素透過率の高い製品を使い、
使用時間を短めする。定期検査を受ける。

などなど、面倒くさいようにも思えますが、
注意するのと、しないのでは大きな差がでるはずです。
また、角膜血管新生が初期の段階であれば、ソフトコンタクトを止め、
ハードコンタクトする程度で改善されます。
しかし、酷くなるとコンタクトレンズ自体を中止することになります。
中止しても、すぐに状態が回復することはないので、また時間をかけて元の
状態に戻していく必要があります。

こうならないよう、ソフトコンタクトレンズユーザーの方は十分な注意が
必要です。

また、角膜だけではなく、網膜や虹彩なども血管新生にならないよう
気をつけたいですね。

 

睫毛(まつげ)が刺さって痛い!!何とかする方法ない?

上まぶたの睫毛は、上に向かってクリン!!

下まぶたの睫毛は、下に向かってクリン!!

正しい方向に睫毛(まつげ)が生えてくれればまったく問題ありません。しかし、たまに逆方向に睫毛が生えてしまい黒目(角膜)に当たってゴロゴロと異物感を感じたり、目に刺さるように痛いという方もいらっしゃいます。

この症状が乳幼児に起きた場合は、痛いとか言うことができません。そのため、まばたきが異常なくらい多くなったり充血や目ヤニがでているなどしますから、注意深く見てあげる必要があります。

実際の対処法としては、おかしな方向に生えている睫毛を抜く処置をするとしばらく快適に過ごせます。定期的に抜去していく必要がありますが、一番手っ取り早く、確実な方法です。(むやみにご自身で抜いてしまうと、細菌感染したり危険なので先生の処置を受けてくださいね!) また、細い針を毛根に差し込んで、生えてこなくする方法もありますが、毛根に当たらず失敗することも多いようです。

他にも裏技というわけではありませんが、ソフトコンタクトレンズを装着するとコンタクトレンズがカバー替わりとなって、睫毛が目にチクチク刺さる違和感が改善されます。

糖尿病でも、眼に気を配りましょう!

『糖尿病』

一度は耳にされたことはある病名ではありませんか?

もし、糖尿病になったら、まずは内科を受診しなきゃ!!と思いますね。
はい。その次は、眼科を受診してください。
糖尿病なのに、「眼科?」とクエスチョンマークがつく方も多いと思いますが、
これ、本当に大事なんです。

糖尿病になると「合併症」に注意しなければいけません。
3大合併症と言われる中に、腎症・神経症とならび、眼では
「糖尿病性網膜症」があげられます。

糖尿病性網膜症は十数年前までは、緑内障を抑え
成人失明原因ナンバー1の病気でした。
(現在は、緑内障に続き第2位ですが、あなどれません!)

 

 

では、おおもとの原因「糖尿病」とはどんな病気なのでしょうか。
糖尿病は、日本を代表する生活習慣病であり、インスリンの作用不足により、高血糖が慢性的に続き、体に様々な異常をきたす病気です。

この場合、眼にどんな異常がでてしまうのか、気になりますよね。

 

白眼の部分をよく見ると、赤く細い血管があるのに気がつくかと思います。眼はこの毛細血管を通し、たんぱく質や酸素など、必要とされる栄養分を取り入れています。

高血糖状態が続くと、この毛細血管がキズつき、出血をおこしていきます。出血すると、血液中のたんぱく質や脂質などが網膜に沈着していきます。これが糖尿病性網膜症の引き金となります。そして、10年以上かけてゆっくり進行し、視力低下が起こり、最悪のケースで失明に至ります。

 

今、眼がどんな状態かというのは、眼底などを検査してみないと分かりませんし、症状はゆっくり進行していきますので、定期的な診断が必要になってきます。

糖尿病性網膜症の治療法としては、まずは、おおもとの「糖尿病」を何とかしないといけないことから、血糖のコントロールをすることになります。
また、食事や運動といった基本的な生活習慣を改善するということが重要になるのは、言うまでもありません。

 

もし、糖尿病と診断されてしまったら、
「眼」
のことも、忘れずにケアしていってください。

飛蚊症(ひぶんしょう)で眼科受診時の注意点

眼の中に黒い糸や点状の物が動いて見えることを「飛蚊症」といいます。

飛蚊症が突然出たり急に数が増えてきた場合、網膜はく離や眼底出血等がないか、詳しい眼底検査が必要となります。

眼底検査をするには、瞳孔(眼球の窓にあたる部分)を開く目薬をさして、15~30分瞳孔が開くのを待ってから精密検査を致します。

この検査をした後は、4~6時間は瞳孔が閉じなくなってしまう為、ピント調節ができず、非常に見えにくくなります。  運転や細かい作業もできなくなります。

来院の際は運転を避けて、公共の交通機関を使ってお越し下さい。

はやりめ(流行性角結膜炎)

夏になると増える結膜炎があります。

流行性角結膜炎(通称はやりめ)は、ウイルスによって引き起こされる急性の結膜炎のことで、感染力が大変強いことで知られています。

主な症状は、充血、メヤニ、ゴロゴロ、痛み、腫れ、発熱、リンパ節の腫脹などです。

学校に行ってらっしゃる方は、感染の恐れがなくなるまで登校禁止となります★

※ かかってしまった場合の注意点

眼を触れた手で他の物に触ると、その物にウイルスが付いてしまい、他の人がそれに触れて感染しますので、目や顔に触れた手で周りの物に触らないよう気をつけて下さい。

外出は避け、自宅で安静にして、体力を温存して下さい。

なるべくシャワーにとどめるか、お風呂に入る場合は家族の一番最後に入り、お湯はすぐに捨ててお掃除をしてください。

タオル類の共有は避けてください。

自己判断では目薬を中止せず、きちんと治ったか必ず医師の診断を仰いでください。

後遺症で角膜が濁ったり、視力が低下することもあります。

 

 

夏のドライアイ

日本の夏は湿気が多く、この季節はドライアイとは無縁なイメージがありますが、夏も様々な理由でドライアイになりやすくなります。

まずはエアコン☆  冷風が体に当たるよう風向きを設定されている方も多いと思いますが、風が直接眼にあたると、眼の表面の水分が蒸発しやすくなります。

また暑いあまり就寝時にエアコンをつけっぱなしで寝ると、寝ている時にうっすら眼が開いてしまう方はてきめんに蒸発して乾燥するので、翌日眼が痛くて開かなくなることもあります。

そして長時間のパソコンや読書★  集中するあまり、瞬き(まばたき)が減ると、涙の蒸発量が増えて乾燥しやすくなります。

意識的に瞬きを増やし、時々潤い成分の目薬を点眼するよう心がけましょう。

涙の量は睡眠不足でも減少しますので、十分な睡眠時間を確保することも重要です。

 

 

 

 

鰻(うなぎ)

来月の「土用の丑の日」を前に、ウナギの価格高騰がニュースを賑わせていますね。

今日は、ウナギに多く含まれる眼に良い成分についてまとめます。

 

ビタミンA   不足すると「夜盲症」といって暗い所で見えにくくなる病気を防ぎます。

ビタミンB1  不足すると視力低下を引き起こします。

ビタミンB2  粘膜保護、 細胞再生、眼精疲労に効果があります。

ビタミンE   抗酸化作用があり、白内障に効果があると言われています。

コエンザイム  同じく抗酸化作用があります。

 

眼に良い成分としてお薦めなのは、

抗酸化物質が多く入っているルテインコエンザイム これらはサプリメントとして売られています☆

アントシアニンが多く含まれるブルーベリー

各種ビタミン類   ビタミンA、B1、B2、C、E

DHAが多く含まれる 青魚類

 

食品で摂れない場合はサプリメントなどで補ったりして、眼の健康に必要な栄養をしっかり摂りましょう。^^

 

眼と紫外線

紫外線の強い季節になりましたね☆

日焼けに気をつけていらっしゃる方は多いと思いますが、肌だけではなく眼も気をつける必要があります。

紫外線によって引き起こされる眼の病気についてご説明します。

1)紫外線角膜炎

紫外線に強くさらされた際に生じる急性の角膜の炎症です。

紫外線を浴びた後、30分~24時間たってから、角膜上皮ぴらんを生じます。

異物感、流涙、充血がみられます。

スキーなどで紫外線の反射の強い場所で起きる“雪目(ゆきめ)”が有名です。

2)翼状片(よくじょうへん)

紫外線により白目の皮(球結膜)が増殖し、黒目に翼状に伸びて侵入します。

異物感、充血、乱視を生じ、瞳の近くま で進行すると、視力障害をきたします。

3)白内障

眼の中にある水晶体というレンズが にごり、物がかすんで見えにくくなります。

手術で人工のレンズに取り替えれば、また見えるようになることがほとんどです。

4)黄斑変性症

視界の中心部が歪んで見えたり、中心が見えなくなります。

治療法はまだ見つかっていません。

 

これから9月末までは紫外線が強いので、外出される際は帽子日傘サングラスなどで眼を保護しましょう!