白内障の手術後に気になる事

先日、ついにA子の家族が白内障手術をしました。今まで真っ白で霞がかかったような視界が見違えるほど綺麗に見えるようになったと驚いています。しかも日帰り手術という事もあり手術そのものは20分程度で終了、術後ケアの説明を受けて帰宅というスピードでした。

ただ、術後においてしばらくの間は少し気になる点があるようです。


1つ目は「見え方が不安定だった」という事。

選択した眼内レンズの種類等や経過にもよりますが、ピタッと綺麗な視界になる時とぼやけて焦点が合いにくいときがあります。

これは時間とともに眼内レンズが安定すれば解消となります。個人差はありますが、2週間程度が目安のようです。

見え方という点では、輪っかのようなものが見えたり、まぶしく乱反射のように見えたりするハロー・グレア(光視症)の症状が気になる事もありますが、これらも次第に落ち着く事がほとんどです。

A子の家族は遠中近の多焦点レンズを入れましたが、術後の3日間程度は右がみえにくとか、左が見えにくいとか。いちいち気になってしまっていたようですが、1週間程度で症状はほぼ改善されています。

ただ、単焦点眼内レンズを選んだ場合は老眼鏡が術後に必要になるケースもあります。完全に安定する3ケ月程度、様子をみてから作成するほうが無難です。


2つ目は「飛蚊症が酷くなった」と感じる事

白内障の手術後は対象物が綺麗にはっきりと見えるようになります。そのため、手術前も同じ状態であったにも関わらず、霞んでいた視界のため気が付いていなかっただけという事がほとんどです。

一般的に白内障手術を受ける年齢であれば、他の疾患が何かしらあったりするもので、生理的な飛蚊症もその中の一つです。

同じような例では、全く変わってないのに
「あら?こんなところにシミができちゃっている」と気が付いたり、
手術前時の写真を見て「お化粧、こんなに濃く塗っていたかしら?」といった具合です。


3つ目は「白内障しか治っていない」という事

白内障の手術をしたからといって、ついでに他の病気が治る訳ではありません。例えば、白内障の手術をしても緑内障はそのままです。白内障の手術をして治せるのは”白内障だけ”なのです。

例えば他に緑内障を患っていたとして、白内障手術後に欠けてしまった視野が元通りになる事はありません。


”手術”という大きな事が行われるので、少なからず今までよりはよく見えるようになる事は確かです。

「春に満開に咲くさくらの色ってこんなに綺麗だったんだな」「雨上がりの綺麗な虹のかかる風景」に感動したりと素晴らしい事を再認識する事も多々あります。

目と脳は繋がっています。目から入った情報を脳へ多く送る事は認知症の予防効果にもなります。

歳を重ねて体力が低下してから手術を受けるより、早めの段階で白内障の手術を決断するほうが最近ではメリットのほうが多いといえそうです。

(※当院で手術は行っていません。術前・術後のフォローのみとなります。紹介状をご希望の方は医師までご相談ください)

花粉の飛散時期に大活躍するコンタクト

抗アレルギー薬配合のレンズ


花粉やハウスダスト等によるアレルギーには本当に長く頭を抱えますね。目薬を点眼したり、かゆみによる涙目をこらえつつ生活をしなければなりません。特に今年は飛散量も多く、大変な目にあったという患者様のお話をよく伺います。

このような時は普通であれば眼鏡を掛けて過ごしますが、強度近視の方だと眼鏡が分厚くなって見え方の質が落ちたり、コンタクトの時にはない煩わしさが残ると思います。

しかし、ジョンソン&ジョンソン社よりこのような時に役立つ製品が「世界初」として販売開始となっています。

ワンデー アキュビュー® セラビジョン® アレルケア®


では、世界初となった商品とはどのようなものなのでしょうか。

商品名は「ワンデー アキュビュー® セラビジョン® アレルケア®」といいます。ケトフェチンという”抗アレルギー薬”を配合したコンタクトレンズなのです。

ワンデー アキュビュー® セラビジョン® アレルケア®

このケトフェチンには3つの働きがあります。

●アレルギー症状を起こす物質を封じ込める

●目のかゆみ等を引き起こすヒスタミンをブロックし、症状を和らげる

●アレルギー症状の悪化や持続のもととなる炎症を起こりにくくする、悪化させない

また、装着後しばらくするとケトフェチンがレンズから6時間をかけて出てくるという画期的な仕組みになっています。

アレルケア仕組み

ずっと目薬に浸っているような感じで過ごせるなら、かゆみの症状等もかなり緩和してもらえそうですよね。

ワンデー アキュビュー® セラビジョン® アレルケア®を試すには


では、花粉症等のアレルギーがあるという方は、どのように使用を開始したらよいのでしょうか。

当院ではテストレンズを導入しています。眼科医の診断に従い使用を開始する必要がありますので、まずは先生の診察を受けます。

アレルギー症状の診断を踏まえ、使用対象者には実際にテストレンズを装着してもらいお渡しする流れとなります。

但し、アレルギーの症状の程度や度数等によってはお渡しができない場合もありますので、個別の症状については診察時に眼科医へご相談下さい。

花粉の飛散時期前が効果的


花粉症対策であれば症状が悪化してからワンデー アキュビュー® セラビジョン® アレルケア®の装着を考えるよりは、花粉が飛散する前から始めるほうが効果的でです。

3月頃まではスギ、そのあと5月頃まではヒノキ花粉のピークです。スギ花粉症である方はヒノキ花粉にも大抵の場合発症しますから要注意です。6月頃はイネ、8月~9月頃はブタクサなど本当に年中花粉は飛散しています。

アレルギー症状緩和を目的として対策をするなら、大変役立つ製品になったのではないでしょうか。

アイフレイルってご存じですか?

アイルフレイルとは?


「最近、年齢のせいかしら?目がかすむわ」

「目が疲れているのかしら。ピントがなかなか合わないわ。老眼かしら?」

「まっすぐの線がちょっと歪んでいるように見える。歳だからね」

など、何かしら起きている目の異変を年齢のせいにしていることってありませんか。40歳を過ぎたくらいから、気になってくる見え方のひとつや二つあるだろうというのは自然な考え方です。

だんだんと変化していくため、何となく最近・・というように「大きな変化」とは感じてない方もほとんどです。

見えにくいメガネ

まとめると、「加齢によって目の機能が低下していること」をアイフレイルと呼んでいます。

アイフレイルが起こる原因


第一の原因はやはり加齢です。誰でも年をとりますからアイフレイルを止めることはできません。

しかし、アイフレイルは単に年齢だけの問題ではありません。「糖尿病」「高血圧」「喫煙」「ストレス」などがアイフレイルを加速させる要素となっています。

自分のアイフレイルはどの程度?


日本眼科啓発会議内の公式サイトで、自身に起きているアイフレイルがどの程度であるのか。自己チェックすることができます。40歳以上は是非試してみてください。

アイフレイルチェックリストへ

いかがでしたか。
何か「気になる」という時点で治療を開始するほうが絶対に良いです。酷い状態になってからだと、大きな手術をしなくてはならないとか治療にかかる患者様自身への負担も大きなものになってしまいます。早期発見と治療の開始がより良いと考えられます。

アイフレイルの対策としては何がある?


目の機能が老化により低下していると、次のような症状がでてきます。

■物が見えにくい(視力低下・老眼) → 眼鏡等で視界を確保する

■目が乾く(ドライアイ)→ 生活習慣の改善やドライアイ点眼薬の併用

■視野が欠ける(緑内障) → 急激な進行とならないよう医師との治療計画をたて点眼治療等

■歪んで見える( 加齢黄斑変性)→ 基本的生活習慣改善や場合によってはレーザー等の治療

■白く曇って見える、まぶしい( 白内障)→ 白内障の進行を緩める点眼治療や手術の検討

など、眼科主治医と相談すれば対処できる事はたくさんあります。「歳のせいだから」という理由で放置をしないようにする事が大切です。

物が歪んで見える?!働き盛りの年代は要注意!

見え方に異変が?!様子を見る事を選択しますか?


平日は仕事をバリバリと片付けて、土日は家族サービスにいそしみながら忙しい毎日を送るのが30~40代男性の日常かと思います。

そんな時にふと、「見え方がちょっと変だな?」と気が付くことがあったらどうしますか。痛みや充血などもありません。すぐに眼科受診をするでしょうか。自覚症状があまりないと、今やらなくてはならない事を優先してしまい自分の事が後回しになる事はありませんか。

何となく見え方の違和感に気が付きつつも、疲れのせいにして早めに就寝。しかし翌朝も「あれ?物が歪んで見える?おかしいな」と軽快されていない事に気が付きます。それでもやはり仕事は急に休めず、もう片方の眼が見えているので大きな生活上の不便を感じられず後回しなってしまうことはないでしょうか。

そして、いよいよ見え方がおかしいと思って眼科を受診する方が非常に多く見受けられるというのが現状です。

この歪みの正体は?


やはり、数日程度経過して症状が改善しないと心配になります。

◆物が歪んで見える

◆暗い感じに見える

◆色味が違うように見える

など、どんどん見え方の違和感が大きくなり眼科を受診するとようやくその理由がわかります。

この病気は中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症:ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)と呼ばれています。特に発症しやすいのが男性、女性の3倍程度の発症率があるとされています。年齢的にも丁度忙しい毎日を送る30代~40代に多いのも特徴です。

眼球奥の黄斑部、物をみるために一番大事なところに水(漿液)が溜まり、一部に網膜剥離が起きた状態になります。そのため、部分的な歪みなどの見え方の異常をきたします。

眼球の断面図を見てみると明らかに、盛り上がりが確認できます。上の写真が正常です。滑らかな状態です。下の写真が中心性網膜症の状態で、赤いマル印のあたりに盛り上がりが確認できます。これが歪むように見える症状の原因なのです。

正常な眼底写真OCT
中心性網膜炎OCT断面図症例

中心性網膜症の原因


では、何が原因でこのような病気が起きるのでしょうか?残念ながら現在の医療では、直接的な原因が医学的に解明されてません。発症した方の年代や生活スタイル等から推測されるには「ストレス」「過労」「睡眠不足」などが原因の1つになっているのではないかとされています。

中心性網膜症の治療方法


直接的な原因が不明なので、一因と推測されるストレスや疲れを癒すことで緩和につながり、大抵は3ケ月~6ケ月程度で自然に治っている事が報告されています。そのため、十分な睡眠とリラックスを心掛けた生活を送る事で経過観察する事になります。

このように通常はゆったりとした生活を送る事で元の状態に戻るようになりますが、自己判断にたよらず眼科医の診断を仰ぐようにしましょう。

不思議なギザギザ模様が見えたら

不思議なギザギザ模様が突如として目の前に発生!?


急に太陽の光のようなギラギラした模様が目の前に出現し、目を閉じても消えません。このような自分の身に何が起こったのかわからないという恐怖感を味わった事はありますか?

例えば、風景写真右側にあるような黒い三角のギザギザ模様が見えます。

閃輝暗点見え方

人によって見える図形の形状は様々ではありますが、ともかく目を閉じてもギザギザ模様が見え続けるので非常にうっとおしいのです。

さらに原因がわからない状態では、よけい慌ててしまいます。そして慌てているうちに大抵の場合は10~20分程度、長くても1時間程度で何事もなかったかのようにギザギザ模様は消えてなくなっているのです。

初めてこの症状が起こると、これから一体どうなってしまうのかと非常に心配になるかと思います。見え方に関連する症状が突如として出現しますので、大急ぎで眼科を受診されるという患者様も少なくありません。

しかし、眼科の先生に診てもらっている頃には症状は跡形もなく消えているということがほとんどです。「あれは何だったんだろう?!」という事後解説を聞くことになります。そしてこれが閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる症状であった事を知らされます。

閃輝暗点は目の病気ではなく、実は脳の病気に分類されます。目は脳とつながっているため、脳に異常があると目にその症状が現れることがあります。眼科では目の器官そのものには異常がないため治療することはできません。

閃輝暗点が起きる原因


主な原因は「脳への血流障害、血管のけいれん」と言われています。疲れ、ストレス、肩こり、気圧の変化などもこれらを起こすも要因の一つです。一時的に脳へ必要な血が流れなくなってしまうと閃輝暗点の症状が引き起こされます。また、脳に腫瘍などがあることが原因でも起ります。

ギザギザが消えるまで


一時的な血流障害が緩和されると、血液は元のように脳へ流れ出します。そうすると見えていたギザギザ模様は何事もなかったかのように消えて無くなります。血流が元に戻る際に、通常は一気にせき止められていた血が血管内を流れ出すため激しい頭痛が起こります。頭痛もしばらくすると静まり、一般的には片頭痛の前に閃輝暗点の症状が起きるとも言われます。

頭痛を緩和するには?


頻繁に閃輝暗点が起こり、激しい頭痛に悩まされる場合は予め脳外科を受診して症状が起きたときに服用できる薬を用意しておきます。閃輝暗点後の頭痛対策としてだけであれば、コーヒー等に多く含まれるカフェインを摂取することによって、緩和されることも知られています。

閃輝暗点後の頭痛が無い方が、実は心配


通常は血流が正常に戻るために激しい頭痛が起きるのですが、腫瘍や動脈硬化、脳梗塞のように血流が元に戻る際の妨げになるものがあると頭痛が起こらないという事があります。

このような場合は、脳外科を受診して診断を仰ぐことが望ましいと考えられます。

人間ドックで診断される「視神経乳頭陥凹拡大」って?

視神経乳頭について


人間ドックの結果をみると、表題のような所見が書かれているのを見た事はありませんか?聞きなれない言葉ですが、目の奥(眼底)には視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)なるものが存在します。まずはこの視神経乳頭について説明していきます。

かねてより眼球はカメラのつくりによく似ていると言われます。眼球の内側にはカメラのフィルムに相当する「網膜」と呼ばれる組織があり、瞳孔から眼の中に入った光はこの網膜上に像を結びます。網膜には視細胞という光に反応する細胞が1億個以上も存在していて、ここで感知された情報は視神経というケーブルを通って脳へ伝えられます。(人間の立場からみると、何が見えたかがわかることになります。)

視細胞と脳を結んでいるケーブル「視神経」は100万本を超える程存在するといわれています。その1本1本は目の奥へ向かって伸びていて、やがて1つの太い束となるように集まっています。そして1本になった視神経の束が脳へと向かうために、眼球の壁(強膜)を突き抜けるこの一点のことを「視神経乳頭」と呼んでいます。

視神経乳頭陥凹拡大とは


視神経乳頭の中央部分はほとんどの人がもともと少し凹んでいます。生まれつき凹みが大きい方も小さい方もいます。この凹みのことを「視神経乳頭の陥凹(かんおう)」と呼んでいます。

↑上の写真は正常と判定された視神経乳頭、
↓下の写真は視神経乳頭陥凹拡大と判定されたものです。
視神経乳頭陥凹拡大真ん中部分あたりの凹みが明らかに下の写真の方が大きいのが確認できます。

視神経乳頭の陥凹はどんな人にもありますが、この凹みが標準的な大きさから考えて異常に大きい場合、陥凹拡大と診断を受けます。

視神経乳頭陥凹拡大と診断された後はどうしたら良い?


まず、この凹みが標準より大きいと判定されるとこの診断がくだります。これが病的な凹みであるのか、生まれつきのもので正常の範囲内として考えて良い凹みであるのかは眼科における精査が必要となります。生まれつきの場合は経過観察とされることがほとんどです。

では、病的な異常の場合はどうでしょうか。視神経細胞が減るとこの凹みが大きくなります。これが原因で視神経乳頭陥凹拡大が起きている場合は、まず緑内障が疑われ罹患していないかを精査していくことになります。

緑内障とは視神経細胞が次第に減少し、失明にまで至る病気です。減少した視神経細胞は再生される事がないため、失ってしまうと二度と元の状態に戻す事はできません。さらに、初期の段階で見え方における自覚症状だけで気が付く人はほとんどいません。人間の目は2つあるため、仮に片眼に異常が起きていても、もう片方の眼が見え方を補ってしまう為、なかなか異常が起きている事に気が付くことができないのです。

聞きなれない視神経乳頭陥凹拡大、放置してしまうと目が見えなくなってしまうこともあるという事を念頭に、定期的に眼科での経過診断を受けるよう心掛けることが大切になるのです。

ぶどう膜炎って、ちょっと厄介なのです。

ぶどう膜って何?


実りの秋です。ぶどうが大好物のA子です。この季節が毎年楽しみなのでありますが、目にも「ぶどう膜」と呼ばれる器官が存在するのはご存じでしょうか?

光は黒目(角膜)から入ってきますが、目には大量に光が入らないよう虹彩という調節レバーのような器官があります。さらにピントを合わせるための目の筋肉にあたる毛様体、目全体に栄養や酸素を運ぶための脈絡膜があります。これらの器官には血管やメラノサイトが豊富に存在するため、名前の通りぶどうの実に似た色の組織となっていて、主にこれら3つの器官を総称してぶどう膜と呼びます。

眼球断面図イラスト

ぶどう膜炎の症状


美味しそうな名前とは裏腹に、ぶどう膜が何らかの原因で炎症を起こす病気をぶどう膜炎といいます。目に起こる症状も様々あり、酷い充血、視力の低下、飛蚊症のような症状、合併症に鈍痛がずっと続くこともあります。そしてぶどう膜炎は大変厄介な病気なのです。

厄介な理由として、まず炎症を起こしている原因がなかなか特定できない事が挙げられます。病気というのは大抵の場合、原因に対し処置・治療をします。炎症が起きている原因がわからなければ本当にこの薬を使っていてよいのか判断が難しくなるのは当然ですし、治るまでの時間もそれだけ多く要することになります。ぶどう膜炎が原因不明のまま終わる事も珍しくありません。

大まかに原因を分類すると次のようになります。
1)原因不明
2)感染症に起因するもの(細菌やウィルス等が原因)
3)感染症に起因しないもの(慢性的な病気が原因)
4)悪性腫瘍

また、原因がわかったとしても慢性的で治りにくい病気が原因でぶどう膜炎を引き起こす場合、元の病気を何とかしないと再発を繰り返してしまうことになります。

ぶどう膜炎を引き起こす病気


特定の病気が原因でぶどう膜炎をが起きる事もわかってきています。次のような治りにくい病気が原因の場合は長期的な治療を要することになります。あまり聞きなれない病名かと思いますが挙げてみます。

<サルコイドーシス>
全身の様々なところに肉芽腫ができる原因不明の病気です。目においては虹彩に肉芽腫ができ、炎症を引き起こします。(※肉芽腫とは慢性化した免疫学的な炎症反応のことを指します)

<フォークト-小柳-原田病>
人間の体を守るための「免疫」が、自分の正常な細胞等を攻撃してしまう自己免疫疾患の1つです。初期症状として、頭痛・頭皮がピリピリする・酷い耳鳴りといった症状の後にかすんで見えるような急激な視力の低下を訴えます。

<ベーチェット病>
原因不明で全身に血管の炎症を起こす病気です。口腔粘膜をはじめ、目、関節、消化器管、皮膚など血管が存在する様々な箇所に異常を引き起こします。最も多いのは口腔内の潰瘍症状と言われています。目においての変性は男子の確率が高く7割程度、炎症を繰り返すことで徐々に視力を失ってしまう危険性があります。

<悪性腫瘍>
いわゆる、癌(がん)の事です。まわりの組織を巻き込んで浸食するように広がっていきます。悪性腫瘍が急激に増加することで、正常な細胞に栄養や酸素が供給されず様々な必要機能が正常に作動しなくなっていく病気です。

ぶどう膜炎の治療について


現状起きている炎症を抑える強い薬「ステロイド薬」という薬を点眼、内服等によって投与することが一般的です。しかし、ステロイド薬は一時的に炎症を抑える効果には優れますが、長期的な投与は副作用を引き起こす心配があるため、避けるべきと言われます。

ぶどう膜炎は先に説明したような治りにくい病気が原因の場合には再発を繰り返すことも多く、主治医との継続的な治療が必要とされます。

診察時には些細な事でも医師へ伝える事が大切


原因不明のまま終わることも多いぶどう膜炎です。現れる症状にはやはり個人差があります。しかし、ご自身におきた些細な症状がヒントとなり、病気の発見へつながることもあります。ご自身の身に起きた症状はどんな小さな事でも医師に伝えるよう心掛けてみましょう。

糸くずみたいな物が見えるけど、放置して良いの?

飛蚊症って何?

「糸くずみたいな黒い物体が見える」
「黒い点々のような物が見える」
「光の輪のようにな物が見える」
「キラキラ光るような物が見える」
等、様々な物体がそこに存在しないのにも関わらず、見えることがありませんか?うっとおしいので、目をこすったり瞬きをしたりするでしょうがなくなりません。視線を移動させてもやはり残ります。

 こういった見え方の違和感が出ていることを眼科医に伝えると「飛蚊症(ひぶんしょう)」と診断されるでしょう。文字通り、蚊が飛んでいるように見える症状を表しています。

 表題の結論を言うのであれば、放置しておいて様子をみて良い場合と早急な治療が必要になる場合に分かれます。

糸くずみたいな物体は何なの?

 では、この糸くずみたいな物体の正体は何なのでしょうか?飛蚊症の症状は、多くの場合が加齢により発症します。まずは加齢が原因の場合の正体についてです。
 目には硝子体というゼリー状のような繊維でできた組織があり、老化ととも固く劣化していきます。そのため、ゴミのようになった繊維が硝子体の中に浮遊し、その影が糸くずのような形であったり輪っかであったりと個人によって形や色は様々ですが見えるようになります。このような飛蚊症を生理的飛蚊症といいます。
 
 対して、治療が必要な場合です。眼底から出血をしてしまっいて、血が黒い水玉のように見えている。網膜が剥がれ落ちてきていて、その膜が影のように揺れて見えていたり、ピカピカ光るように反射して見えている。といったように老化現象によるゴミのようにな浮遊物ではないものが写って見えていることになります。

 どちらのタイプであるのかは、自己判断は大変危険ですから眼科医の診断を受けるようにします。

飛蚊症の治療について(経過観察の場合)

 飛蚊症の治療についてお話しをしますと、飛蚊症の起きている原因によって異なります。先に説明しました「生理的飛蚊症」であれば、いわゆる老化現象により起こる事です。年を取らないようにすることはできません。そのため治すこともできません。
 また、強度の近視が原因の場合についてです。強度近視の方は眼軸が長いため、網膜が眼軸の長さにぴっぱられ薄い方が多いのです。そのために萎縮変性が起こり硝子体を濁らせ、飛蚊症を引き起こします。
 これらの診断の場合は経過を見守るしかありません。非常にうっとおしく感じるかもしれませんが、気にしないようにうまく飛蚊症と付き合うようにすることです。

 しかし、気を付けなければならないことがあります。一旦経過観察の診断を受けたとしても、治療を要する飛蚊症に変わることもあります。急に糸くずの数や大きさが増えたというようなときはすぐに眼科医の診断を受けるようにします。

飛蚊症の治療について(早期の治療を要する場合)

 では、別の病気が原因で飛蚊症を引き起こしている場合です。これはその原因となる病気を何とかするよう治療をしていきます。

 病的に飛蚊症を引き起こす場合は次のようなことが考えられます。硝子体剥離という病気があります。これは網膜と硝子体の接着部分が剥がれてしまい、放置しておくと視力に大きな障害が起こります。剥がれた部分が影として視界に写りこみ飛蚊症となります。また、糖尿病や高血圧などの基礎疾患が原因となり飛蚊症は起こります。これらのような基礎疾患で血管が痛み眼底出血が起こります。この場合は、基礎疾患のコントロールをしっかりして眼底からの出血を止めなければ再発が繰り返されます。
 突発的な「目の打撲」も原因になります。転んだり、ボール等が当たり目を強く打ってしまった時に眼科医は眼底出血がないかを確認します。硝子体には血管が無いため、一度眼底からの出血が広がると自然に吸収されるまでには非常に時間を要します。
 強度近視の方の場合、経過観察となることが多いですが、網膜にあった小さな孔(あな)が大きく広がってしまった際には適切な処置をすぐに受けることが必要となります。他にもぶどう膜炎等の炎症や感染症などからも飛蚊症は起こりますから、適宜処置が必要となります。

飛蚊症の予防法

 これといった特効薬がないため、基本的な生活習慣を見直すことから始めましょう。バランスの良い食事と十分な睡眠がまずは挙げられます。目が疲れすぎない様に適度な休憩をはさむことも大切です。
 また、生理的飛蚊症に関しては老化が原因です。抗酸化作用のある食品やサプリを積極的に摂取したり、喫煙をしない、紫外線をなるべく浴びないように努めることが予防に繋がるのではないでしょうか。

糖尿病にご注意を!

糖尿病って何?

糖尿病という病名、テレビ等でも最近とりあげられる機会が増えてご存じの方も多いのではないでしょうか。糖尿病とは、インスリンが正常に分泌されず血液中のブドウ糖が増加してしまう病気です。簡単にまとめれば、血液中の糖が増えることにり人間の体に様々な障害が引き起こされる病気です。

血液の病気なら内科の先生に診てもらうのはわかりますが、何で眼科のブログで紹介されるの?と、少し不思議に思うかもしれませんが、糖尿病と診断をされると、気を付けてほしいと内科の先生に言われる事があります。それは「合併症」です。糖尿病が原因で引き起こされる病気で、糖尿病腎症及び糖尿病神経症、そして眼科においては糖尿病網膜症が挙げられるのです。

糖尿病網膜症は失明原因にもなります。

では、自分が糖尿病にかかっているのか否か?どのようにすればわかるのでしょうか。まずは内科や会社等で受ける健康診断の血液検査の結果を確認してみましょう。「ヘモグロビンA1c」という値が異常値になってはいませんか?(もし、異常値範囲であれば内科の先生にすぐ相談してください)

眼科としての症状から考えますと初期の状態であれば、自覚症状はありません。ようやく進行してくると、見え方に変化(かすむ、ダブって見える等)を感じるようになります。末期に進むとともに見え方の異常に加えて飛蚊症等の症状が見られ、放置しておくと失明にまで至る病気です。

そうしますと、初期の状態で発見したいところですが自覚症状がなければ自分では気が付くことができません。やはり、定期的な眼底検査が必要となるのです。血液の糖化によりどれだけ目の血管がダメージを受け、出血が起きていたりするのかは目の奥(眼底)を医師が目視することにより発見されるのです。

眼底出血の状態から糖尿病に罹患していると発見されることも。

自覚症状が出た(進行した)状態になって初めて糖尿病に罹患していることが判明することもあります。特に元気が取り柄で病院なんて滅多にお世話になることがない、という方に見受けられる傾向があります。見え方等に異常が出てようやく眼科を受診、眼底出血が見られ糖尿病に罹患している事が発覚したという事がやはり起こりうるのです。逆に眼科から内科へ紹介という事態にもなりかねません。

糖尿病に罹患すると全身に異常が起こります。

糖尿病にかかると、単なる風邪でも治りにくくなったり症状が重くなったりします。これは免疫力や治癒能力の低下が影響すると言われています。世界中で目下猛威を奮っている新型コロナウィルスにおいても、糖尿病などの基礎疾患がある方は重症化しやすいので気を付けるように言われるのはこの為です。糖尿病に罹患して細菌・ウイルス・真菌が原因で起こる病気にはよく注意しなければなりません。かかりやすく、重症化しやすく治りにくい状態なのです。

糖尿病にかからないようにするには?

慢性疾患予防にジョギングをするメガネの男性

生まれつきの糖尿病でなく、生活習慣によって罹患してしまう2型糖尿病であれば規則正しい生活をすることで予防することができます。適度な運動をし、栄養を取り、しっかりと睡眠をするということです。日本人はもともとインスリンの分泌が少ない人種ともいわれます。肥満にならずとも糖尿病になる事もありますので生活習慣の見直しを是非してみる事が大切です。

角膜内皮細胞について

みなさん、こんにちは。

暖かい日も少し増えてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

風邪等には十分気をつけてくださいませ。

今回のテーマは角膜内皮細胞です。

コンタクトを使っている方、他にも将来することになる白内障手術に関わってくる大切な細胞です。

角膜内皮細胞って何?

角膜は黒目の上にある透明な組織のことで、コンタクトをいつものっけている部分になります。

角膜は5層構造になっており、

外側から角膜上皮層、ボーマン膜、角膜実質層、デスメ膜、角膜内皮層の順で並んでいます。

角膜の一番内側にあるのが角膜内皮細胞です。

角膜内皮細胞は入ってきた水をくみ出す役割があり、そのおかげで角膜の透明性が保たれるのです。

重要なことは、角膜内皮細胞は死ぬと二度と再生することはないということです。

つまり、なくなったらそれで終わりということになります。

角膜内皮細胞が減少したらどうなるの?

成人の角膜内皮細胞の数は3000個/㎟ですが、これが500個/㎟以下になると角膜が混濁し、視力が出なくなります。角膜内皮細胞は、加齢によって少しずつ減っていきます。他に、コンタクトを装用することでも減っていきます。

角膜内皮細胞は再生能力がありませんので、こうなると、角膜移植をするしかなくなります。

また、角膜内皮細胞が減ってしまうとコンタクトが装用できません。コンタクトをすることによって、減っている角膜内皮細胞がさらに減ってしまう可能性があります。

それ以外にも、将来白内障手術を受けることができなくなります。白内障は老化現象ですので、多くの方は水晶体が白く濁ってきて視力が低下し、手術を受けることになると思います。手術をすることで再びクリアな視界が得られますが、角膜内皮が少なく混濁していると、手術を受けたとしても、思ったように視力の回復は望めないかもしれません。

また、手術をすることで、角膜内皮も多少のダメージは受けますので、手術を受ける段階で十分に角膜内皮細胞が残っていることが大切になります。

角膜内皮細胞を減らさないために

角膜内皮細胞は粗悪なコンタクトなどの長時間、長期間使用でもダメージを受けます。

最近のコンタクトは酸素透過性の優れたものも多くでていますので、コンタクトを選ぶときには眼科で合ったものを選ぶと良いと思います。

角膜内皮は減ったら増えませんの目を労わって大切にしましょう。