眼底を検査をしたら、後部硝子体剥離が見つかる事も。

後部硝子体剥離ってどんな病気?

後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)は、年齢を重ねると起こりやすい目の変化のひとつです。目の中にある透明なゼリー状の組織(硝子体)が網膜からはがれてしまう病気で、特に50歳以上の方に多く見られます。症状としては、突然黒い虫のような影(飛蚊症)やチカチカ光る、眩しい(光視症)を感じることがあります。

なぜ後部硝子体剥離が起こるの?

年齢を重ねると硝子体は少しずつ水っぽくなり、縮んでいきます。そのため網膜からはがれやすくなってしまいます。また、強度近視の方や、目にケガをした方、白内障の手術を受けた方も起こりやすいと言われています。

どんな症状があるの?

  • 黒い点や糸くずのような影が見える(飛蚊症)
  • 突然チカチカ光が見える(光視症)
  • まれに視界の一部がゆがんだり欠けたりする

このような症状を感じたら、すぐに眼科で検査を受けることが大切です。眼科医が網膜(眼底)に異常がないかを詳しく調べます。
後部硝子体剥離

網膜裂孔と網膜剥離
放置していると、徐々に症状が深刻化していくことがあります。経過観察がよいのか、治療を必要とするのかは眼科医の診断を定期的に受ける事が重要となります。

検査はどんなことをするの?

当院では目の奥を詳しく見る検査(眼底検査)検査を行います。細隙灯顕微鏡検査や眼底カメラでの撮影、また光干渉断層計(OCT)検査も行い、硝子体と網膜の状態を調べる事ができます。痛みもない検査ですので、ご安心ください。

どんな治療が必要?

多くの場合は特別な治療は必要ありません。ただし、網膜に裂け目や穴があった場合はレーザー治療や手術が必要になることもあります。症状に応じて大きな病院を紹介する事もありますので、早めの受診が大変重要です。

見え方がおかしいな、と思ったら

後部硝子体剥離は年齢に伴う自然な変化がほとんどですが、飛蚊症や光視症を感じたら我慢せず、すぐにご相談ください。放置して重症化させてしまうより、適切な診断を早く治療するほうが良いと思いませんか。

また、異常を感じて受診する際は瞳孔を広げて検査を行うため公共の交通機関を利用しての受診をお願いしております。


よくある質問(FAQ)

後部硝子体剥離は何歳くらいから起こりますか?
一般的に50歳以上の方に多いですが、強い近視や外傷がある場合は若い方でも起こることがあります。
飛蚊症が急に増えたらどうしたらいいですか?
急に飛蚊症が増えたり、光がチカチカしたら網膜に異常が起きているかもしれません。すぐに眼科を受診してください。
後部硝子体剥離は治るのでしょうか?
老化現象として剥がれること自体は自然な変化なので治す必要はありませんが、合併症があれば治療が必要になります。定期的に検査を受けましょう。
検査は痛いですか?
眼底検査は痛みがなく、短時間で終わるのでご安心ください。少し眩しい程度です。
手術は必要ですか?
多くの場合は手術の必要はありませんが、網膜剥離などの合併症があれば緊急の手術が必要になります。大きな病院を紹介する事もあります。

糖尿病で物がダブって見えるのは何故?

 

糖尿病と斜視の関係

糖尿病と聞くと合併症として「網膜症」や「失明のリスク」を思い浮かべる方が多いですが、実は斜視や複視と関係することもあります。今回は、糖尿病と斜視のつながりについてご紹介します。

糖尿病で斜視が起こる理由

糖尿病が長く続くと、全身の血管や神経に障害が起こります。目の動きをコントロールするのは脳神経と外眼筋ですが、糖尿病性神経障害によって神経がダメージを受けると、眼の動きが不均衡になり斜視を生じることがあります。

代表的なのは動眼神経麻痺・外転神経麻痺で、片眼が内側や外側に動きにくくなり、物が二重に見える「複視」を訴えることが多いです。

糖尿病と関連する斜視の特徴

  • 急に物が二重に見える(複視):発症が突然のこともあります。
  • 片目をつぶると楽になる:両眼で見ると二重、片眼だと一重になるのが特徴です。
  • 眼の動きに制限がある:上・下・左右の特定方向に動かしにくい。
  • 頭痛やまぶたの下がりを伴う場合もあります。
  • 糖尿病で斜視発症

受診の目安

以下のような症状が出た場合は、早めに眼科を受診してください。

  • 急に物が二重に見えるようになった
  • 片目を隠すと見やすくなる
  • 眼が思うように動かない
  • まぶたが下がる・頭痛を伴う

眼科での検査・治療

糖尿病に関連する斜視が疑われる場合、眼科では以下の検査を行います。

  • 視力・眼圧・眼底検査(糖尿病網膜症の有無確認)
  • 眼位検査(カバーテストなど)
  • 両眼視機能検査(立体視の有無)
  • 眼球運動の確認

治療は、血糖コントロールの改善が基本です。軽症例では数か月で自然に回復することもあります。症状が強い場合はプリズム眼鏡を処方したり、必要に応じて斜視手術(※大きな病院を紹介します)を検討します。

糖尿病による目の合併症は網膜症だけではありません。複視の出現で生活の質に大きく影響を与えることもあります。このように発覚した目の症状を機に初めて糖尿病に気づく患者様もいらっしゃり、内科へ駈け込んでいただくこともあります。
「最近物が二重に見える」「視線が合わない」といった症状があれば、放置せず早めにご相談ください。

  • 糖尿病は神経障害によって斜視・複視を引き起こすことがある
  • 急な複視や眼の動きの異常は受診のサイン
  • 眼科では検査と治療、必要に応じてプリズム眼鏡や手術を検討
船橋駅前さくら眼科では、定期的な検査を行う事ができます。
詳細は公式サイトをご覧ください。

 

ふわふわ・ぐるぐるするめまい|眼科で確認すべき症状と受診目安

「めまい」の眼科的症状

今日はめまいと眼の関係についてA子目線でご紹介したいと思います。夏休みも終わり環境や気温の変化等が原因か、めまいを訴える患者様が多い気がするのがこの時期です。

めまいと眼の関係って?

めまいは耳の病気と思われがちですが、眼科でも関係することがあります。目で見た情報は脳に伝わり、体のバランスを保つ重要な役割を持っています。目の不調が原因で、ふわふわ・ぐるぐるした感覚のめまいが起こることもあります。

めまい_さくら眼科

眼科で関係する主な症状

  • 複視(物が二重に見える)
    目の筋肉や神経の異常で、物が二重に見えると脳が混乱しめまいの原因になることがあります。
  • 眼振(眼が勝手に動く)
    眼が左右や上下に揺れる症状です。めまいと一緒に現れることが多く、内耳や脳の病気と関連している場合があります。
  • 視力の急な低下や歪み
    視界がぼやけたり歪むと体のバランスが取りにくくなり、ふわふわ感や立ちくらみを感じることがあります。

受診の目安

以下のような症状がある場合は、眼科での受診をおすすめします。

  • めまいが強く、立っていられない
  • 視界の異常や物が二重に見える、物が斜めに見える
  • 突然の視力低下や眼振を伴う
  • 頭痛や吐き気を伴う

眼科でめまいの症状に対しできる検査

  • 視力検査・眼圧測定
  • 眼底検査(網膜や視神経の状態確認)
  • 眼振検査(眼の動きのチェック)
  • 複視の確認や斜視の検査

目そのものに異常がない場合、耳鼻科や神経内科などと連携して原因を調べる事になります。

めまいを自己判断で片づけるのは危険です

めまいは原因がさまざまです。単純にちょっとしたストレスだけでも発症しますし、大きな病気が原因となり発症しているケースがあります。

症状だけで自己判断せず、「いつもと違うめまい」を感じたら早めに眼科で相談してください。私たちは患者様の不安に寄り添い、安全に検査・治療が進められるようサポートします。

当院、船橋駅前さくら眼科では予約不要で受診できます。異常を感じたら、放置は厳禁です。平日お忙しい方も、土日祝も診察していますので、お気軽にご相談下さい。

 

子どもの近視進行抑制薬「リジュセアミニ点眼液0.025%」|小児近視の新しい治療法

~増える子どもの近視、早めの対策が大切です~

スマートフォンやタブレットの普及により、近年、子どもの近視は増加傾向にあります。特に学童期の近視は進行が早く、将来強度近視になる可能性があります。強度近視は網膜剥離や緑内障、黄斑変性などのリスクを高めるため、早期からの進行抑制が重要です。

リジュセアミニ点眼液0.025%とは

 リジュセアミニ点眼液0.025%は、有効成分アトロピン硫酸塩を低濃度で含む点眼薬です。2024年12月に厚生労働省から日本で初めて製造販売承認された小児近視進行抑制薬として、安全性と有効性が確認されています。

1日1回の点眼で近視進行を緩やかにし、将来の強度近視リスクを減らすことが期待されます。

リジュセアミニ点眼液0.025%

期待できる効果

当院では近視の進行を60%抑制するとされた「マイオピン」を積極的に処方しておりましたが、この度より安全性の高い参天製薬社の国産製剤「リジュセアミニ点眼液0.025%」に切り替える運びとなりました。防腐剤フリーで、衛生面でも考慮された1回の使い切りタイプです。

学童期の近視進行速度を抑える効果が報告されています。ただし、完全に近視の進行を止める薬ではありません。効果には個人差があり、点眼と並行して生活習慣の見直しも大切です。

使用方法

通常は1日1回、寝る前に両眼へ1滴ずつ点眼します。翌朝は洗顔や洗眼で点眼液を軽く洗い流してください。用法用量は必ず眼科医の指示に従い、自己判断で中止する事はお避け下さい。

副作用と注意点

まれにまぶしさやピントの合いにくさが出る場合があります。異常を感じたら、すぐに眼科医へご相談ください。コンタクトレンズは外してから点眼してください。治療中は定期的な検診が必要となります。

当院での取り扱いについて

当院では診察のうえ、適応のあるお子さまにリジュセア点眼液0.025%を処方しています。定期的な経過観察を行い、安全かつ効果的に使用できるようサポートします。費用や診療の流れは、受付または眼科医に直接お尋ねください。

将来への投資としての選択肢です

子どもの近視は放置すると将来の目の健康に影響します。リジュセアミニ点眼液0.025%は、小児近視進行を抑える有効な選択肢のひとつです。お子さまの視力が気になる方は、お気軽に診察時にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. リジュセアミニ点眼液0.025%は何歳から使えますか?

A. 原則として6歳以上の学童期から使用可能です。ただし、眼科医の診察によって年齢に関わらず適応が判断される場合もあります。

Q2. 点眼をやめると近視は元に戻りますか?

A. 中止後も近視の進行は自然な速度で続く場合があります。効果を保つためには、医師の指示に従って継続的に使用することが重要です。

Q3. どのくらいで効果が出ますか?

A. 数か月から1年程度の使用で進行抑制効果が確認されることが多いです。ただし、個人差があります。

Q4. 保険は使えますか?

A. リジュセアミニ点眼液0.025%は自由診療となるため、健康保険は適用されません。費用は医院により異なります。

Q5. 他の近視治療法と併用できますか?

A. 併用することでより高い効果が期待できる場合もございます。併用の可否は必ず眼科医にご相談ください。

★電話でよくあるお問い合わせランキング★

【船橋駅前さくら眼科】電話でよくあるお問い合わせランキングと注意点


当院にはお電話でお問い合わせを多くいただく内容があります。患者さまの混雑緩和とスムーズな診療のため、ホームページでよくある質問をランキング形式でご案内いたします。ぜひご覧いただき、ご不明点はお問い合わせ前にご確認ください。

第5位:「生後〇ヶ月の赤ちゃんのメヤニが気になります。診てもらえますか?」

眼科は年齢を問わず診察しております。年齢による受診制限はありませんので、異常を感じたら早めの受診をおすすめします。(※美容皮膚科は未成年の施術は不可となっております)

専門的な治療が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします。


電話をするお母さん

第4位:「クレジットカードや電子マネーは使えますか?」

美容皮膚科の自由診療は各種クレジットカードでお支払いいただけますが、保険診療のお会計は現金のみとなります。会計業務の効率化のため、ご理解のほどお願いいたします。

第3位:「現在の待ち時間はどのくらいですか?」

電話時点での目安はお伝え可能ですが、診察状況によって変動しますのでご了承ください。
また、当院ホームページのトップページには随時、待ち時間の目安を更新しておりますので、ご確認ください。


クリニック待合

混雑のピークは土曜日や平日午前・夕方18時以降です。祝日は比較的空いています。平均待ち時間は混雑日で約45分、空いている日は10〜15分程度となります。

第2位:「予約は必要ですか?予約はできますか?」

眼科は予約制ではありません。症状があれば当日受診が可能です。
(涙点プラグ処置が指示された場合は、診察後に予約をお取りします)

美容皮膚科は施術メニューによって予約が必要です。
【完全予約制メニュー】
・ヒアルロン酸注射
・多汗症のワキボトックス
・レーザー治療(イボ・ほくろ)
・サーマクール
・リジュラン再生注射
・ウルトラフォーマー
カウンセリングやその他メニューは予約不要です。

第1位:「受付時間に間に合わないのですが、診てもらえますか?」

当院は救急指定病院ではなく、時間外診療は行っておりません。症状によってはお受けできない場合もございますのでご了承ください。
受付終了は診察終了の1時間前です。メガネやコンタクトレンズ作成や定期健診など緊急でない場合は受付時間内の来院をお願いします。

船橋市公式サイトの時間外緊急受診案内はこちら

目の異常は軽視せず、早めの受診をおすすめいたします。

弱視(じゃくし)って何?

弱視とは?子どもの視力発達に関わる大切なポイント


「弱視」という言葉は「視力が弱い」という意味ではありますが、学校の視力検査で引っかかるとは限りません。医学的には、視力の発達が妨げられて、メガネやコンタクトレンズで矯正しても十分な視力が出ない状態を指します。

子どもの眼科健診

具体例で説明すると、

  • A君:裸眼視力は0.1でも、メガネで1.0まで見える → 弱視ではない
  • B君:裸眼視力は0.1でメガネでも0.2までしか見えない → 弱視の可能性あり

このように、視力がどれだけ矯正できるかが重要なポイントです。

弱視になる主な原因


弱視の原因は様々ですが、代表的なものを3つ紹介します。

1. 遠視や不同視などの屈折異常

遠視は近くも遠くもピントが合いづらい状態で、不同視は左右の目で見え方に大きな差があることです。子どもが目を細めたり、集中力が続かないなどのサインを見逃さないようにしましょう。

2. 斜視

片方の目が中心窩(物を見るために重要な場所)を使っていないために、視力の発達が妨げられます。肉眼でわかりにくい場合もあるので、注意が必要です。

3. 形態覚遮断(生まれつきの目の問題)

先天性白内障や角膜混濁、眼瞼下垂などで視覚刺激が遮断される状態です。適切な手術で原因を取り除く必要があります。また、医師の指示がないままの眼帯使用は避けましょう。

小学校入学前までの早期発見が大切です


目は身長や体重とは違い、6歳ごろまでにほぼ大人と同じ大きさに成長します。この成長期に弱視の原因を見つけて対処しないと、視力が十分に育たず一生ぼんやりした見え方になってしまう可能性があります。

乳幼児健診や定期検診をしっかり受けて、快適な視力で学校生活をスタートさせましょう。見えづらいと勉強や遊びも楽しめなくなってしまいます。

眼科でマックスとお伝え下さい【ワンデーアキュビューシリーズの最高峰】

「眼科でマックスとお伝え下さい」のレンズって何?


現在テレビCMにて、キャッチーなフレーズをよく耳にします。

「眼科でマックスとお伝え下さい」

これって何?と思われている方も多いかと思います。

これはワンデーアキュビューシリーズの最高峰としても過言ではない1dayタイプのコンタクトレンズの事を言っています。

コンタクトレンズユーザーであれば「アキュビュー」という銘柄は少なからず耳にされているのではないでしょうか。このシリーズの最高傑作といってもよい商品が出たよ!というCMなのですね。これがワンデーアキュビューオアシスマックスという商品なのです。

ワンデーアキュビューオアシスマックス


ジョンソン&ジョンソン社が製造するこのアキュビューシリーズは、日本においてシェアナンバーワンを獲得してきた製品です。

1995年の発売以来
ワンデーアキュビュー→

ワンデーアキュビューモイスト→

ワンデーアキュビュートゥルーアイ→

ワンデーアキュビューオアシス

という具合に、更に乾燥しにくく酸素透過性をUPし目の疲れを軽減するといったデザインにここ30年近くでどんどん進化しているのです。

そして2024年、ついにワンデーアキュビューシリーズの最高峰とも言える「ワンデーアキュビューオアシスマックス」が登場しました。

1dayアキュビューオアシスマックス

ワンデーアキュビューオアシスマックスの凄いところ。


では、どれだけの改良がなされたのか2点程ご紹介します。

1つめは「涙を安定させ、なめらかな着け心地が続く」という点。

コンタクトレンズを目に入れると、涙液層が一定に保たれずにドライアイの症状を引き起こすことがよくあります。しかし、ワンデーアキュビューオアシスマックスは保湿成分がコンタクトレンズに最適に分布するよう作られており、瞬きの度に起こる摩擦を軽減。レンズの滑らかさが1日続くという独自の技術を用いて作られています。

2つ目は「HEVフィルター」により短波長光をカットする点。

UVカットは紫外線カット効果とイメージがわきやすいと思いますが、HEVというのはその紫外線の次に強い光「High Energy Visible light」の略でざっくり言えば「青色光(ブルーライト)」に対するカット効果がありますよという事です。ブルーライトは空気中で散乱するため、ブレた感じに見えたり疲れやすくなる事があります。この症状を緩和しますよという機能です。

※余談ですが、一般的に認知されているデジタル機器(パソコンやスマホ等)から発せられる「ブルーライト」は、眼球に大きな害を及ぼす程度には発せられてはいないと米国眼科アカデミー及び日本眼科学会のホームページ上等でも周知されていますので、ブルーライトカット効果と呼ぶのには少し語弊があるかもしれません。

その他、裸眼時と比べても98%という高い酸素透過性やUVカット効果はもちろん、裏表のマーキングなどアキュビューシリーズが継承してきた良いところはそのまま標準装備とされています。

ワンデーアキュビューオアシスマックスのちょっと残念なとこ。


では、こんなに良いとこづくしで非の打ちどころが現状なさそうな製品の処方希望者が何故少ないのか??というところに行きつきます。

こんな良い製品ならぜひ試したい!と今までのアキュビューシリーズの新商品が少なくとも発売されたときはそうでした。

これは一重にA子の独断推測ではありますが「お値段」なのではないでしょうか。

昨今の原料や輸送費の高騰により、様々な物価が上昇しています。ネットショッピング等で検索しても、両眼で1ヶ月あたり1万が相場のようです。月額でこの額では、やはりユーザー側としてはかなりの負担ですよね。

それなら目とお財布に負担がない程度の他社の商品を選択されるという事も、致し方のない事なのでしょう。もちろん、眼科では目に異常をきたさない範囲の処方であれば何の問題もありません。どこに価値を見出すのかは十人十色なのでしょう。

コンタクトレンズが軒並み欠品している理由は???

主要メーカー大多数でコンタクトレンズが欠品中


コンタクトレンズは生活必需品のひとつであり、日本はアメリカに次ぐ世界第2位のコンタクトレンズ大国です。

国産品レンズももちろん存在はしていますが、大多数が輸入に頼っているのが現状です。

コンタクトレンズとケース

現在の欠品理由としては、

1)ロシアとウクライナの戦争

2)新型コロナによる行動制限の緩和

3)半導体の不足

という事が大きな原因として挙げられています。
もう数年にわたってこの状況が続いてしまっていて、いつ頃解消になるのかという見通しがまだ立たないのが現状のようです。

原因1:ロシアとウクライナの戦争?


ロシアとウクライナの戦争の理由に関しては、もう2年も経過しました。ロシアとウクライナが戦争をする事により、他国で製造されているコンタクトレンズがロシア上空を通り輸送されてきたルートを迂回する必要性が生じました。そのため、輸送日数やコストが大幅にかかる事になりました。

日本でのシェア率が高いジョンソンエンドジョンソン社のアキュビュー製品はアイルランド工場で製造されています。以前までのルートをかなり変更して輸送しなければならなくなった為に、レンズの納品に大きく影響が生じ、また市場価格も大幅に昨年の時点で値上がりしています。さらに条件付きで送料無料であった日本国内での配送費も1箱でも24箱でも一律550円のユーザー負担に変更となっています。

原因2:新型コロナによる行動制限の緩和


数年続いたコロナ禍においてコンタクトレンズの需要と供給のバランスが崩れてしまった事です。行動規制が緩和されてから数年経過しましたが、まだまだ続きそうです。

コロナの行動制限で在宅ワークが主体とされたこともあり、レンズの需要率が当時は一気に下がりました。その後、製造工場における稼働率も低下していたところに、行動制限が解除された事が要因で一気にコンタクトレンズの需要が高まり供給が追い付かないという事態に陥りました。

国産品であるシード社のワンデーピュアシリーズの供給がなかなか追いつかないというのもこの辺りに原因がありそうです。また、これらの製品は他社商品が欠品しているので「間に合わせに使用するため」という事でもオーダーが増え製造ラインがパンクしてしまっているのは重なっていそうです。

原因3:半導体の不足


この理由もかなり長期的かつ世界的な問題です。コンタクトレンズ工場の製造ラインのメンテナンスで発覚した不具合等が修復できない状態です。直しなくても、壊れた部品やらが調達できないという切実な問題です。

10台あった製造ラインの稼働が半分になれば、単純計算で通常時であったとしても必要コンタクトの半分しか作れない事になります。

利用中のコンタクトレンズは早めにオーダーを!


以上のような理由が主で、コンタクトレンズ大手メーカーは各社欠品情報を日々発信せねばならぬ現状となっています。

ご自身の使用している銘柄やデータが対象なのかを早めにお求めになる販売店で確認し、視力矯正が確実にできる様ユーザー自身も注意しておかなければなりません。コンタクトレンズは目の中に直接入れて使用するため、度数が同じでも合う合わないが生じますからご注意を!

それから、目に合った「メガネ」もちゃんと携帯しておくことをお忘れなく。

コンタクトレンズの「度数だけ測って欲しい」という謎。

コンタクトレンズの度数だけ測るってどういう事?


眼科で働いていると常識、でも一般的にはあまり知られていない事ってよくあります。

例えば、

★緑を見ると目が良くなる。
⇒これは緑という色ではなく、遠くを見る事の方が重要なのです。昔は遠くを見ると緑の木々や山々があったため、”緑”と要約されてたのではないかと言われています。遠くを見ているときの方が(近くの時より)ピント調節に負荷がかかりにくくなると言いたかったのでしょう。

★暗いところで漫画を読むと目が悪くなる。
⇒これは暗さではなく、漫画を見る距離が重要なのです。漫画本に顔を近づけて見ると、近視が進む原因になります。

★メガネにすると、目がどんどん悪くなる。
⇒これもウソ。メガネを掛けたから目が悪くなったのではなく、目が悪くなったからメガネを掛けたので、時系列が逆です。メガネを掛けた事が直接の原因となり近視が進行する事はありません。

このような迷信らしき事をよく耳にします。

そして、最近増えたのが「コンタクトレンズの度数だけ測って欲しい」と言われる事です。

一見、何がおかしいの?と疑問を持たれる方も多いかと思います。

しかし、実際にコンタクトレンズを処方する眼科側からみると、「え?度数だけ、どうやって測るの?」という疑問符が飛び交います。

何故そうなるかというと、コンタクトレンズの度数は最後に導き出された結果値であるからです。

コンタクトレンズの度数はどうやって決まるの?


酸素透過コンタクトレンズイメージ

では実際にコンタクトレンズを作るときに、何が行われるのかを考えてみます。

まずは診察により、一般的な目の異常がないかや矯正視力が問題なく出ているか等を確認します。

その後です。

(1)実際に目の中に入れる製品を決定します。用途や目のデータを元に相談します。

(2)(1)で選んだ実物を装着し、目とのフィット具合をチェックします。(ここでテスト用に選択する度数は仮のものです。)

(3)(2)で問題がなければ、初めてここで度数をどうするかを微調整していきます。テストレンズの度数を元に希望の見え方を確認し、頂点間補正、等価球面など耳慣れない事が勘案されて初めてそのコンタクトレンズでの度数が決定となります。

上述したのは一般的な球面のみのレンズ矯正におけるもので、乱視用や遠近両用等その他特殊レンズに至っては、さらに工程が増えて最終的に度数が導き出されます。

コンタクトレンズには「度数」だけではなく、カーブ・サイズ・厚みなどをはじめとして様々なデータが存在します。それらが実際にヒトの目の中、涙に浮かんだ状態でどのように作用するのかで度数は決定されます。

そのため、いきなり(3)の工程にスキップして結果値だけを出すというのは理論上無理という話なのです。

度数だけで決定すると、目のトラブルが起こる原因に!


以前、こんな事がありました。

当院で発行したコンタクトレンズ処方箋を元にネットで商品を購入した患者様。採用されたのは”度数のみ”。商品名もカーブもサイズも全く違うものをオーダー。しかも、安いからといって親御様が購入してお子様に使用させたそうです。数日後、目を真っ赤にして痛みを訴えたお子様が来院したときには、目が傷だらけになった悲惨な状態でした。

他にも、カーブ・サイズ・度数に至ってもデータ表記が全く同じである2つの商品。商品名を無視して、データだけを同じで値でネットで入力して購入し、角膜炎を起こしたケースもあります。理由はコンタクトレンズの含水率にありました。治癒後は高含水タイプのレンズに変更する事が医師から指示されました。

他にも乱視用や遠近両用の場合では、商品を変えたら全く見え方が変わっておかしくなった。持ち込み乱視の発生などで大変な思いを味わった患者様も多数いるのは事実なのです。

今回は知らない、聞いたこともないような言葉が沢山でてきました。自分は大丈夫と安易に度数だけを考えてコンタクトレンズを使用するのは絶対に止めましょう。

正しく使えば大変便利なものである事には間違いないのですから、「度数だけ」に着目するのは大変危険な事なのです。

健康保険の適応範囲について

国民皆保険制度とは


日本には国民皆保険制度という、他国には無い医療制度があります。簡単に言えば、日本国民であればいずれかの健康保険団体に加入しているのが当たり前で、健康保険証がその証です。

日本国憲法第二十五条に(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」 (2)「国は、すべて の生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 と、規定がありますとおりの制度です。

クリニック

そもそもこの国民皆保険制度は、一定の保険料を保険者に納める事により、突然病気やケガをしたときに病院へ支払う医療費の自己負担が軽減されるものです。お金がないから医療を受けられないという理由で、国民の健康が損なわれないようにするのが本来の目的です。この制度により世界最高レベルの平均寿命や医療水準を実現しているのは確かです。

また、保険医療費は国が適切に料金を定める事により、どの医療機関であっても同等の金額(病院やクリニック等で多少の差はあります)で適正な医療を受ける事ができます。

価格を自由に設定させないのは、医療における値下げ競争への牽制もあります。また、今問題になっているオーバードーズ(薬の飲みすぎ)を防ぐ意味もあります。

適正な保険診療について


ここでは「適正な医療」という事に注目してみます。例えば、次のようなご要望が患者様からあった場合、どのように考えますか?

「すぐに薬を使いきってしまうから、30本目薬を下さい。」

希望通り、一度に30本も目薬を渡して良いものでしょうか??

→保険診療の観点から考えますと、目薬であっても薬には変わりありません。適量の投与が保険診療として認められます。出す量が多すぎたり、必要以上に使ってしまっている事も多々見受けられます。いくら多く点眼しても、吸収量というのは限られておりほとんどは瞼からこぼれ落ちてしまっているような状況もしばしば耳にします。

そのため、患者様が欲しい分だけ薬がもらえる訳ではないのです。医師が診察して、治療に必要とする量を処方するので受け取れるものです。

もちろん、年末年始やらで病院自体がお休みになるのでいつもの薬を多めに医師が出すという事はあります。ですが、欲しい分だけもらえるという事ではありませんよね。

では、次はいかがでしょうか。

「コンタクトレンズの処方箋、10種類試したいから出して下さい」

ご自身の目に合う製品を探したいのはわかりますが、保険診療の範囲内でしょうか??

→10種類も一度にコンタクトを目に入れる事はできません。通常の範囲であれば、2WEEKと1DAYを用途によって使い分けるとか、ハードレンズと1DAYなら何とか理解できます。せいぜい2つまでが限度でしょう。

コンタクトレンズも高度管理医療機器に位置付けられるもので、使い方を誤ると人体に大きな異常を引き起こします。やはり薬に準ずるものとして取り扱い、必要以上の分量を処方箋にお書きする事はできません。コンビニで違う味のジュースを何本も買うのとは訳が違います。

続いてはこんなパターンです。

医師から4ヶ月毎に検査をしましょうという指示を出しているにも関わらず、患者様ご本人が

「検査は年に1回で良いんです」

→これは検査が疲れるからとか、医療費の負担が増えるからとか様々理由があるように見受けられますが、4ヶ月毎というのは医師が病状により診断していくために必要と判定して指示をしています。これに従わずとして、何をどのように管理して診察や投薬が行えましょうか。眼科に来て視力も測らせてもらえない事も実際問題としてあります。

医療費の負担については、保険医療機関において不必要・過剰と認められる検査が行われている場合、診療報酬請求書に基づき減額されるチェックシステムとなっています。

うっかり紛失してしまっても、保険適応外です


では、次のような時はいかがでしょうか。

「昨日、診察を受けて薬もらったけどなくしてしまった。もう一回もらえますか?」

不可抗力かもしれませんが、うっかりもらったばかりの薬を丸ごと落としてしまった。どこかに忘れてきてしまった。こんなご経験がある方もいらっしゃると思います。しかしながら、必要分以上の診察や調剤は健康保険の適応外です。

もちろん無くしたからといって、調剤してもらえない訳ではありません。本当に無くしているのに必要な薬がないと大変な事になってしまいます。薬はもらえます。ただ、その料金の支払いが全額自己負担になるという事です。健康保険内においての診療(保険料の支給)は完了しているため重複される事はありません。

本当にうっかりやってしまった方はやりきれない判定かと思いますが、持っているのに無くしたと偽って受け取られる事を防ぐ(または転売などを防ぐ)ため、たとえどのような事情でも保険診療外となります。健康保険には紛失保証はついていません。

 

いかがでしたでしょうか。適正範囲という解釈には個人差が生じ疑義がつくも事も多くありますが、常識の範囲内で考える事が大切に思えます。