先天性赤緑色覚異常について

みなさん、こんにちは。

残暑が厳しい時期になりましたね。

最近、学校での色覚検査の再検査での来院の方も多いので、今回は先天性の色覚異常についてのお話です。

色覚異常って何?

色覚異常とは、多くの人とは色の見え方が異なることです。

通常、網膜には3種類の錐体細胞があり、これが働くことによって、脳に色の情報を伝え、色の感覚が起こります。

この錐体細胞には、赤に反応するもの、緑に反応するもの、青に反応するものがそれぞれあり、色の3原色の組み合わせによって様々な色を認識できます。

先天性色覚異常の場合、これらの3つの錐体細胞の内、どれかが機能していなかったり、機能していても不十分な状態を指します。

先天性色覚異常はその程度や、異常のある錐体の種類によって、名称が細かく分かれていますが、中でも、特に多いものがいわゆる先天性赤緑色覚異常です。

先天性赤緑色覚異常とは

学校の再検査などで異常が見つかる場合も多くはこの種類の色覚異常です。

これは、赤や緑に反応する錐体細胞に異常が見られるものを指します。

先天赤緑色覚異常では色がわからないとか、白黒に見える、ということではなく、見分けにくい色の組み合わせがいくつかある状態です。

例えば、赤と緑、オレンジと黄緑、ピンクと水色、赤と黒、青と紫などの色が見分けにくいと言われています。

どの色を間違えやすいのかは個人によって差があるので、理解することが

大切です。

また、色覚以外の視力や立体視などは正常です。見えなくなる、ということもありませんので、間違いやすい色を認識し、対策を講じることが重要です。

どんな検査をするの?

当院では、石原式色覚検査表とパネルD15という2つの検査をして、診断を行います。

石原式色覚検査では正常かそうでないか、おおまかに振り分けます。

パネルD15テスト(色相配列検査)ではどんな種類の色覚異常か、ということを詳しく検査していきます。

 

色覚異常は、職業によっては制限があります。就職活動時に初めて発覚することもありますので、色覚異常かどうか気になる方は早めに眼科を受診することをおすすめします。

視神経乳頭陥凹拡大って何?

みなさん、こんにちは。

梅雨に入ってじめじめする季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

本日は視神経乳頭陥凹拡大についてです。

視神経乳頭陥凹拡大とは

健康診断や人間ドッグなどで視神経乳頭陥凹拡大、と書かれていることがあります。

視神経乳頭陥拡大とは簡単に言うと、緑内障に見られる所見の一つであり、緑内障の疑いがあるということです。

視神経乳頭は目の中にある、視神経や血管が通っているへこんだ部分のことで、誰にでもあります。

このへこみが標準より大きいと視神経乳頭陥凹拡大と診断されます。

視神経乳頭陥凹拡大と言われたら

視神経乳頭陥凹拡大と言われても、必ずしも緑内障とは限りません。

生まれつき、このへこみが大きいこともあり、その場合特に治療はありません。

緑内障は視神経乳頭陥凹拡大の他、特徴的な視野異常が現れます。

視野異常が見られない場合、経過観察となることが多いです。

緑内障かそうでないかはいくつかの検査によって総合的に診断され、視力検査、眼圧検査、視野検査、OCT、眼底検査などの検査が必要になります。

もし、視神経乳頭陥凹拡大と診断されたら、はやめの受診をおすすめします。

 

 

自分では気が付きにくい色覚異常

【色覚異常とは?】

一般的に男の子に多いといわれる色覚異常。日本では男の子の20人に1人の割合で発症しているとされています。もちろん、物が見えないわけではありません。生まれつき色の見え方がちょっと他の人と違います。先天色覚異常は生まれた時からの見え方なので、本人にとっては生まれてからの色の見え方が異常なのかどうか?自分自身で判断することが非常に難しいものです。

大抵は学校で行われる簡易的検査で指摘され、初めて気がつくケースが多いようです。指摘を受けた場合はすみかやに眼科を受診します。また、先天異常ではなく後天色覚異常の場合にも、見え方に変化が生じた際には、眼科を受診しましょう。

【どんな検査をするとわかるの?】

学校で行われているのは、こんな感じのパネルや本を見て何て書いてあるかを答えます。眼科においても、同じような検査を行いますがもっと精密に測定をしていきます。

色覚2さらに、色相配列テストで詳しく検査をしていくことになります。

【治療方法はあるの?】

現在では先天色覚異常を治す特効薬や手術などはありません。特定の色を見分けられるようなメガネなども開発はされているようですが、まだ幅広く使えるには至っていないようです。

【もし、色覚異常と診断されてしまったら?】

本来の物を見る力はありますので、生活が出来ないわけでもありません。他人と少し物の見え方が違うだけなのです。確かに色によって識別しないといけないもの、例えば駅の路線図やカードゲーム、充電のランプや配線コードなど日常において見えにくく不便を感じることもあります。しかし、どんな物が判別しにくいのかを認識しておくことによって、色の見え方の差による不便さを改善することにもつながります。前向きに色覚異常と向き合って、どうすれば困難な状況にならずに済むかを周囲の人と一緒に考えてみることも大切です。

緑内障は失明に至る病気です。

【緑内障とは】

眼圧が上がることにより視神経が圧迫され、長期にわたってこの状態が続くと次第に視神経が萎縮して見える範囲「視野」が狭くなり、最悪の場合は失明に至る怖い目の病気です。日本では40歳以上で約5%、20人に1人の割合で緑内障にかかっている方がいることになります。

【病気の症状】

初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。視野が欠けたのに気が付く、自覚症状が出たときにはすでに進行しているケースが多く見受けられます。初期段階で緑内障にかかっていることを発見するためには、定期的な眼科での検査が大変重要とされます。

緑内障

また、急性の場合は突然眼圧が上昇して激しい眼痛、頭痛、充血、かすみ目などの症状が起こり一瞬にして失明に近い状態になることもあります。

【治療は一生続けます】

緑内障と診断されたら、残っている視野を確保するために基本的には毎日欠かさず眼圧を下げる目薬を点眼するという治療を続けることになります。一生のお付き合いになります。点眼治療をしても眼圧が下がらない場合は緑内障の手術をしますが、あくまでも眼圧を下げるために行うものであり、萎縮した神経(すでに欠けた視野)を復元するものではありません。一度萎縮した神経はどんな治療をしても元どおりにすることはできません。現在残っている視野を出来る限り確保するようにします。

【緑内障の予防法】

これをしておけば100%問題なし、という決定的な予防はありません。しかし、眼圧を上げてしまう副作用のあるステロイド剤の長期使用を避ける。十分に栄養、運動、睡眠をとり規則正しい食生活を送る、禁煙、アルコールの過剰摂取を控えるなどちょっとした日常生活の改善が眼病の予防にもつながると言われています。

【白内障と勘違いしては危険です!】

緑内障と白内障。名前は似ているところはありますが、白内障はほとんどの場合が老化現象によるものです。白髪と同じように年をとれば誰でもかかる病気です。白内障は手術をすれば治ります。緑内障と診断されたのに、白内障を勘違いしていたとなったら大変なことになります。病名を勘違いしないよう十分に注意するようにしましょう。

アレルギー用の目薬、ちゃんと点眼できていますか?

充血がひどい!メヤニがひどい!かゆみがひどい!

目薬点眼これらの症状があれば、どなたでも目薬をさして何とか楽になろうと考えます。しかし、アレルギー対策として処方された目薬も症状が出ているときだけさせば良いのでしょうか?

アレルギーと言えば花粉症などを思い浮かべる方も多いですが、かゆい時だけ目薬をさす。果たして効果はどうでしょう?!確かにむやみに薬を使うのはよくないですが、かゆいとか症状が出たときだけさすのは抗炎症薬などの役目です。

アレルギー薬は、その症状がひどくならない様に予防的に使うという意図で処方される先生が多いのです。例えば1日3回点眼してくださいねと言われたアレルギー薬を、忙しくて朝1回とか朝晩2回しか出来なかった。そうすると、効き目も残念な結果になってしまいます。

アレルギー症状そのものがちょっと落ち着いた感じになっていると、ついつい目薬をさす意味があるの?!なんて思ってしまうことなんてないでしょうか。そこが落とし穴になるのです。先生の指示通りに使ってこそ効果が得られると考え、継続指示があれば軽快しているときも点眼を行うようにします。

メガネを掛けると近視が進むのは本当?

都市伝説といわれることがあります。その中に、「メガネを掛けると近視が進行する」というのも聞くところによると含まれているそうですね。

結論から言いますと、これはやはり迷信です。大抵の場合、次のような思い込みと経緯があるのです。

「メガネを掛けないと生活が困難になってきた」 → 「メガネを掛けた」 → 「さらに度が進んでしまった」 → 「見えないのでメガネの度を上げた」 → 「さらに度が進んでしまった」・・・。

という具合に、メガネを掛けた事と近視の進行が進んでいるのが同時期に起きているため、近視が進んだのが「メガネの責任」に転嫁されてしまっているのではないでしょうか。

この場合、順番が逆なのです。近視が進んだ → メガネを掛けた → さらに度が進んでしまった → 再度メガネの度を調整した。という事であり、先にメガネを掛けた訳ではありません。メガネを掛けなくても近視は進みます。(ただし、度の合っていないメガネを使用していれば近視の進行に気が付きにくいのは確かです)

現実問題として、近視が進行している時期につい数ヶ月前に作ったメガネの度がもう合わないとうことが、学校の友達同士とか身近な人間の間で起きている話が何件かあったら「メガネを掛けたら、近視が進むのよ!」という考えに至ってしまうのかもしれません。A君もメガネを掛けた頃から近視が進行、B君も、C君も?!えっ?!という具合でしょうか。

ところで、近視がどんどん進行して強度になるような場合、原因がメガネを掛けたということでなければ何が大きな原因なのでしょうか。

大きな要因の1つとしては「近視の遺伝子」が挙げられています。日本でも数年前、京都大学が「強度近視の発症に関わる遺伝子変異」について発表しています。まだ近視の進行を抑制するにはどうしたらよいかなどまでは完全に解き明かされてはいませんが、この遺伝的原因が近視を強度へ進行させる要因になっていることは明らかなようです。

視力2.0は便利?それとも不便?

今の日本人で一般的に視力が良いという基準は「裸眼視力1.0」という認識が多いようには思えます。そして、裸眼視力1.5というとスゴイ目がいいじゃない!さらに裸眼視力2.0ともなれば、すっごーーーい!!という反応になる具合です。しかし、これはほとんどの場合が軽い遠視の状態となります。
女医さんの視力検査を受ける少女 子どもであれば裸眼視力が良好なことは大変喜ばしいことなのですが、強度の遠視が隠れているケースであれば治療を要することもあります。見たい対象がどの程度離れているかによっても見え方は変わってきます。

また、このような視力の場合、現代の日本での生活においては年齢的に早い段階から老眼に悩まされることです。日本の眼科における視力検査では2.0を超える指標を出すことはほぼありません。もしかしたら2.0以上の視力が出ているかもしれません。実際に3.0とか4.0、5.0という視力も世界では存在します。仮にジャングルの大草原で暮らしている人であれば、遠くにいる獲物が良く見えて狩猟をするのにも便利なのかもしれませんが、現代の日本において必要視力という視点で考えると、この視力が役立つものかどうかというのは疑問が残ります。

日常的に使うスマホやパソコンなど、比較的近い離を見るときにはピントを調節をする力を使うことになるのですが、普通の方よりピント調節力を多く使わなくてはならない状態となり若い方でも眼精疲労に悩まされます。

年齢とともに老眼が始まってくると同年代の方よりも早く老眼という症状に気が付くことになります。反対に軽い近視がある方は、老眼という観点からすればその症状に悩まされるのも結構年齢が進んでから、ということが多いのです。

度が弱すぎてもストレスになるのです。

メガネやコンタクトレンズを作る際、折角掛けるのであればハッキリ物が見えた方が良いといって作ったが、度がきつすぎて頭痛がしたりクラクラ気分が悪くなってしまったことがあった。

目を細める眉間のシワそんなお話をされる方に多いのが「極めて弱め」な度数でメガネやコンタクトレンズを使用しているということです。私はこれくらいの見え方が丁度良いのですと。度が弱い=目に良いという先入観がそうさせてしまっているのかもしれません。

確かに度を強くしすぎると、眼精疲労をはじめ様々な異常をきたすことがあります。しかし、度が弱ければ弱いほど良いというものでもありません。

見えなさすぎる!

というのも考えものなのです。常にボンヤリとぼやけた視界が目の前にあって本当に楽なのでしょうか?どのくらいの度数が最適なのかというのは個人差がありますが、見えなさすぎても目は疲れるのです。

目が痛い。どんな痛みなのか、具体的に医師に伝えられますか

目が痛い。単純に目に痛みがあるという表現で想像できる病気は数多くあります。しばらくすれば自然に落着くような単純な「目の疲れ」によるものなのか、それとも放置してはならないものなのか、見極めを間違えると失明に至ることもあります。
目の疲れ

目の痛みは大きく分けると目の表面の痛みと、奥の痛みに分けられます

例えば、
目に傷がある→「チクリと刺す様な痛み」
異物が入っている→「ゴロゴロするような痛み」
ドライアイ→「しみるような痛み」
できものがある→「まばたきをすると痛い」

表現や感じ方は人それぞれですが、これらが目の表面の痛みの一般的な症状です。すぐに先生が肉眼で確認できる範囲のため、対処方法が早めに見つかることがほとんどです。

では、目の奥の痛みについてですが「鈍い痛み」を訴える方が多いのです。言葉で表現するとズキズキする、重い感じというようなものです。目の奥ですから、すぐに顕微鏡でみてわかるものでもありません。

眼圧、眼底、視野なども含めあらゆる検査をして発見に至ることが多く、また目の異常ではなく脳など別の器官からの影響であったりすることもあります。

痛みを感じるのであれば、どんな痛みなのかをしっかりと医師に伝えることも大切です。

はやり目の感染ルート。

はやり目、正確には流行性角結膜炎という病気です。はやり目というと、夏・子供・プールなどを連想される方が多いですが、もちろん大人でもかかります。また冬でも感染することはあります。

はやり目は感染力が非常に高いとされている「アデノウィルス」が原因で発症します。

アデノウィルスは、接触するとほぼ100%に近い確率で感染するともいわれています。しかし、「接触」が原因ですので空気感染はしません。

家族がはやり目と診断されたら、食器や鍋、タオルなども分け、お風呂も湯船ではなく一番最後にシャワーを使うようにするなど、様々な注意点が眼科の先生から伝えられると思います。特に注意すべき点としては以上のようなことになりますが、何気ない日常生活における接触感染の主なルートについて考えてみますと、

はやり目のA君が自分の目を触った手で、物に触れる → その物を別の誰かB君が手で触る → B君が何気なく目をこする → B君も感染する、といった具合ではやり目は感染します。

生活していく上で、例えば何気なく触る玄関や部屋のドアノブ、エレベーターのボタン、テレビのリモコン、スマホなどにウィルスがついていると感染が拡大していきます。どこから感染してしまったのだろう?!と思うくらい自然すぎる行動の中からうつってしまうのです。

しかし、接触しない限りは感染しませんからこまめな手洗いや消毒、目にむやみに触れないというのが一番の予防策といえるでしょう。