マイオピンからリジュセアミニへ――近視進行抑制点眼薬の違いと医療費控除について

お子さまの近視進行を抑える治療として、これまで当院では海外から輸入された低濃度アトロピン点眼薬「マイオピン」を使用してきました。

現在(2026年10月)は、参天製薬から発売された国内承認薬「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」を処方することに完全移行しています。

「マイオピンとリジュセアミニは何が違うの?」

「薬が変わって効果は大丈夫?」

「費用や医療費控除はどうなるの?」

今回は、このような疑問について変更点をご説明いたします。

そもそも、低濃度アトロピン点眼とは?

低濃度アトロピン点眼治療とは、子どもの近視が進行するスピードを抑えることを目的とした治療の事を言います。

近視は、眼球の奥行きである「眼軸長」が伸びることなどによって進行します。一度伸びた眼軸は元に戻すことはできないため、特に成長期に近視が進行しているお子さまでは、近視の進行をできるだけ緩やかにすることが重要です。

アトロピンは以前から眼科の検査などに使用されてきた薬剤ですが、低濃度で使用することで、日常生活への影響を抑えながら近視の進行抑制を目指す治療が行われてきました。

マイオピンとリジュセアミニは何が違う?

まず大きなポイントは、有効成分が同じ「アトロピン硫酸塩水和物」であることです。

特に、これまで使用していたマイオピン0.025%からリジュセアミニ0.025%へ変更する場合、濃度は同じ0.025%です。

一方で、製剤としてはいくつかの違いがあります。

マイオピン0.025% リジュセアミニ0.025%
有効成分 アトロピン硫酸塩水和物 アトロピン硫酸塩水和物
濃度 0.025% 0.025%
製造・販売 海外製・輸入製剤 参天製薬・国内承認薬
使用方法 1日1回、就寝前 1日1回、就寝前
容器 ボトルタイプ 1回使い切りタイプ
防腐剤 製品に含有 無添加
日本での位置づけ 国内未承認の輸入製剤 「近視の進行抑制」の効能・効果で国内承認

リジュセアミニは、2024年12月に日本で初めて「近視の進行抑制」を効能・効果として製造販売承認を取得し、2025年4月21日に発売されました。 一番大きな違いは「国内承認薬」になったことです。更に2026年6月1日から選定療養(保険外併用療養費の対象)となった点です。

これまで使用されていたマイオピンは、海外で製造された低濃度アトロピン点眼薬を輸入して使用する形でした。(マイオピン点眼液がこれに当たります)そして日本で「予防医療」としての扱いでした。

一方、リジュセアミニは、日本で「近視の進行抑制」という効能・効果について製造販売承認を取得した医薬品です。

国内の5~15歳の近視患者を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験では、リジュセアミニ0.025%を使用した群で、24か月後の近視進行についてプラセボ群に対する優越性が確認されています。また、36か月までの試験でも近視度数や眼軸長の進行抑制が確認されています。(参天製薬HPより引用)

つまり、

「これまでの低濃度アトロピン治療から全く別の治療に変わった」というより、同じアトロピンを使用した近視進行抑制治療について、日本で正式に承認された製剤が登場した

と考えていただくと分かりやすいでしょう。

1回使い切りタイプになったメリット

リジュセアミニの特徴の一つが、1回分ずつの使い切り容器です。

リジュセアミニ点眼液0.025%

1本を開封したら、その日の点眼に使用し、残った液は保存して翌日に使用するものではありません。

使い切りタイプにすることで、防腐剤を添加せずに使用できます。長期間にわたって毎日使用することが想定される近視進行抑制治療において、衛生面にも配慮され製造されています。

「毎日使う目薬だからこそ、できるだけ衛生的に使いたい」

という保護者の方にとっても、分かりやすい変更点だと思います。

マイオピン0.01%を使用していた方は?

ここは少し注意が必要です。

マイオピンには0.01%と0.025%の製剤がありました。

リジュセアミニは0.025%です。

そのため、

  • マイオピン0.025% → リジュセアミニ0.025%:同じ濃度
  • マイオピン0.01% → リジュセアミニ0.025%:濃度が変わる

という違いがあります。

アトロピンは濃度によって近視進行抑制効果や、まぶしさなどの副作用の出方が変わる可能性があります。

したがって、0.01%から0.025%へ変更する場合は、「薬が変わっただけ」と考えず、お子さまの近視の進行状況や瞳孔、まぶしさなどを確認しながら、医師と相談して治療を継続することが大切です。

2026年6月から「選定療養」になりました

ここが、現在の患者さんにとって特に重要な変更点です。

リジュセアミニは発売当初、薬価基準に収載されていなかったため、近視進行抑制治療は基本的に自由診療として行われていました。

しかし、2026年6月1日から、リジュセアミニによる近視進行抑制治療は「選定療養」の仕組みを利用できるようになりました。

選定療養とは、一定の条件のもとで、保険診療と保険外の費用を組み合わせて利用できる制度です。

そのため、現在は、

診察・検査など → 保険診療

リジュセアミニの薬剤費 → 保険外の自己負担

という形で治療を行うことが可能になっています。これまでの「すべて自由診療」という扱いから、大きく変わったポイントです。

医療費控除について

「自費の薬だから、医療費控除も使えないのでは?」

というご質問をいただくことがあります。

しかし、健康保険が使えるかどうかと、所得税の医療費控除の対象になるかどうかは、別の制度です。

国税庁では、医療費控除の対象となる医療費として「治療または療養に必要な医薬品の購入の対価」を挙げています。また、厚生労働省も、選定療養における患者負担について、治療または療養に必要な医薬品の購入の対価に当たるものは医療費控除の対象となる旨を示しています。

したがって、医師の診療・治療に基づいて処方されるリジュセアミニの薬剤費についても、原則として医療費控除の対象になると位置づけられます。医療費控除を利用する可能性がある方は、薬剤費を含め、当院から発行された領収書を大切に保管してください。

なお、医療費控除は所得税の制度であり、実際に控除を受けられるか、どの程度の還付や軽減になるかは、ご家庭の所得や年間の医療費などによって異なります。具体的な確定申告については、管轄の税務署や税理士にご確認いただくことをお勧めします。

毎日の点眼と定期検査が大切です

リジュセアミニは、近視を「治す」目薬ではありません。

現在ある近視を元の状態に戻すのではなく、近視が進行するスピードを抑えることを目的とした治療です。

そのため、処方された点眼を毎日継続することに加え、定期的に視力や屈折、眼軸長などを確認し、治療の効果を評価することが大切です。

また、点眼後のまぶしさ、近くが見えにくい感じ、目の違和感など、気になる症状があれば、自己判断で中止せず医師にご相談ください。