遠近両用コンタクトレンズについてご説明する際、「マルチフォーカル」「バイフォーカル」「プログレッシブ」といった言葉を耳にすることがあると思います。
これらはいずれも遠近両用レンズに関連する用語ですが、それぞれ意味が少し異なります。
まず、「マルチフォーカル」は多焦点レンズの総称です。その中に、「プログレッシブ」や「バイフォーカル」といった、レンズ内の度数配置(デザイン)の異なるタイプが含まれます。
それぞれのレンズは、遠く・中間・近くを見るための度数の配置(度数分布)が大きく異なるため、見え方や使い心地にもそれぞれ特徴があります。
そのため、同じ遠近両用コンタクトレンズであっても、ライフスタイルや見え方の希望に応じて、適したレンズデザインを選ぶことが大切です。

上の図は、「プレミオ遠近両用」のプログレッシブデザインにおける度数分布を示したものです。
「プログレッシブ(累進屈折)」と呼ばれるレンズは、遠くを見るための度数から近くを見るための度数へ、なだらかに変化する設計になっています。複数の焦点を持つ構造のため、遠方から近方、あるいは近方から遠方へと視線を移した際も、比較的スムーズに視界が切り替わるのが特徴です。また、遠くでも近くでもない「中間距離」の見え方に優れている点も大きなメリットです。
一方で、遠方や近方のどちらか一つの距離を長時間見続けるような場面では、見え方の鮮明さがやや物足りなく感じられることがあります。
例えば、細かな手作業や長時間の読書などでは満足度が低くなる場合があります。そのため、「遠くも近くもある程度見える」という印象を持たれる方が多く、日常生活に必要な生活視力(遠方では0.7~0.8程度、近方では新聞が無理なく読める程度)をバランスよく確保することを目的としたレンズといえます。
これに対して、バイフォーカルタイプは、遠方用と近方用の2つの焦点を持つ設計です。そのため、遠くを見る場合も近くを見る場合も、それぞれの距離ではマルチフォーカルタイプより鮮明な見え方が得られやすく、満足度が高い傾向があります。下の図は、「プレミオ遠近両用」のバイフォーカルタイプの度数分布です。

しかし、遠方から近方へ視線を移す際やその中間距離を見る場合には、見えにくさを感じることがあります。そのため、デスクワークや読書など、一定の距離を見続けることが多い方には、バイフォーカルタイプの方が快適な場合もあります。
車の運転については、慣れれば大きな支障はないとされています。しかし近年は、運転中にカーナビやメーターなど近距離の表示へ視線を移し、その直後に前方へ視線を戻す場面が増えています。このような視線移動では見え方に違和感を覚えることもあるため、運転をされる方はレンズ選びの際に十分考慮することが大切です。