病気でないのに、目が見えないという小学生

学校健診で「D判定」だったら? 子どもの視力低下と心因性視力障害の話


学校の視力検査の結果を見て驚くことはありませんか。「D判定って何?」と慌てる親御さんは多いです。まずは落ち着いて、結果の意味と次に取るべき行動を確認しましょう。

まず確認したいこと:単純な近視の進行かどうか

多くの場合、D判定は単純に近視が進んだ結果です。メガネの度数を合わせ直せば視力が矯正できます。まずは眼科で検査を受け、適切な矯正視力(メガネをかけたときの視力)を確認しましょう。

矯正しても視力が出ない場合は要注意

もしメガネやコンタクトで矯正しても十分に視力が出ないときは、さまざまな要因を含めて詳しく調べる必要があります。

心因性視力障害とは?

今回は心因性についてとりあげてみます。「心因性視力障害」とは、心理的な影響で視力低下が生じる状態を指します。脳や目の明らかな器質的異常が見つからないのに、急に視力が落ちることがあります。原因は完全には解明されていませんが、子どものストレスや心理的な要因が関与していると考えられています。

心因性視力障害に見られる特徴

  • 急に学校検診でD判定になった
  • 視力低下は両眼に起こりやすい(0.3以下になることが多い)
  • 視力検査で「全く見えない」と同じ答えばかり返す
  • メガネをかけても矯正視力が出ない
  • 小学3〜5年生の女児に多く見られる傾向がある
  • 視野狭窄や色覚の訴えを伴うことがある

診断の流れと眼科で行うこと

  • まずは眼科で精密検査(詳しい屈折検査、矯正視力測定、眼底検査など)を行います。
  • 眼の機能的な問題(網膜や視神経の病気)がないかを確認します。
  • 器質的な大きな異常がない場合は、経過観察や心理的側面の評価を検討します。

ご家族ができること(対処法)

  • まずは否定せず、子どもの訴えに寄り添ってください。
  • 学校や家庭でのストレス要因を探し、可能な範囲で軽減しましょう。
  • 治療は時間がかかることがあります。焦らず、定期的に受診してください。
  • 必要に応じて小児科や心理相談(スクールカウンセラー等)相談する事も選択肢の1つです。

いつ受診すべき?

学校検診でD判定が出たら、まず眼科で検査を受けてください。視力が急激に落ちている、痛みや見え方の変化がある場合は早めの受診をおすすめします。

最後に

学校健診でD判定だったからといって、すぐに深刻な問題があるとは限りません。しかし、矯正しても視力が出ない場合は必ず専門医に相談してください。原因の確認と、ご家庭での対応が大切です。当院でも丁寧に検査・相談を行っています。気になることがあればお気軽にご相談ください。

目に洗剤などが入ったら、病院に行く前にすぐに流水で目を洗いましょう!

目に洗剤やパーマ液などの化学物質が目に入り、
炎症を起こしている状態を
「化学眼外傷(かがくがんがいしょう)」と呼んでいます。

こういった物質が目に入ると、「目がしみて痛い!!」という激痛と
炎症が起きます。

目に入った物質によっては、失明してしまうことにもなりかねません。
早急の処置が、後々の視力にも影響してくることもあります。

万が一、洗剤などが目に入ってしまったら、
まず、病院へ駆け込む前に行っていただきたいことがあります。

すぐに目を開けたまま流水で、10分以上は目を洗ってください!

この状態で、目を開けたまま流水で目を洗うのは
大変痛みをともない 苦痛ですが、化学物質が目に残っていれば残っているほど、
障害が残ってしまう危険が高まります。

軽い外傷であれば、処置後、元通りの目の状態にもどります。
重症であれば、手術・入院が必要とされ、後遺症が残ります。

特にアルカリ性の物質は、酸性の物質と違い
眼球内へ入り込んでいくため、大変危険です。
入ってしまった際には
すぐに目を洗って眼科医の診察を受けるようにしましょう。

 

日常生活では、よく手にするもので言えば
【洗剤・シャンプー】・・・アルカリ性だと、汚れを落とす力は強いですが、目に入ると大変危険です。中性洗剤や弱酸性のシャンプーとかに換えてみるのも良いかもしれません。

お子さんの場合だと、
【石灰】・・・学校の校庭にラインを引いたりする白い粉。体育の授業中などに風に飛ばされたりして、目に入ってしまうなどあるようです。
気をつけて生活をしていても、万が一入ってしまった場合は
目をすぐに流水で洗う!!ということを実践してみてください。

外で遊ぶ子と遊ばない子、近視になる確率に大きな差がでます。

ここ10数年、テレビゲームの出現により
子供が外で遊んでいるのを見る機会が減ってきたように感じているA子です。

 

ではここで、子供の目が近視にならないようにするために
どちらが効果的か、という点を考えて
A:「外で遊びなさい」
B:「ゲームは30分まで!」
どちらの方を重要視して、注意したらよいと思いますか?

確かにどちらも大切な事なのですが、
正解は「A」です。

ゲームだけに限らず、部屋の中での活動時間を短縮させるよりも、
外で遊ばせる(活動する)時間を多くとらせるほうが、子供が近視になる確率が低い!
という報告が上げられているようです。

これも、とある某メーカー営業マンさんからの口コミになるのですが
ちょっと耳よりな情報でした。
海外の例ではありますが、
遺伝的要素・人種的要素も同程度の児童(日本で言えば小学1年生)を対象に
どのくらいの割合で近視の子供がいるかを調べた結果、

A地域で生活をする児童の近視率は3.3%
B地域で生活をする児童の近視率は29.1%

さらに読書などをする時間は、Aグループの児童の方が長かったとのこと。

あら?読書(マンガやゲームもこの主の作業ですよね)が多いのに、
近視になってないの?と思いました。

 

そして、何がここまで近視率の差を広げたのかと言うと、
A地域の子供たちは、
外で遊ぶ時間が長かった!!ということでした。

 

外で活動することが、目の調節緊張状態を緩和させ、
近視になるリスクを回避したのではないか。
と、結論付られたようです。
読書などをする時間が長くても、この結果がでるのであれば
いかに成長期の子供が外で遊ぶことが大切なのか
わかる気がします。

お子さんが近視になる確率を下げるには、
「外で遊ばせること」
これが一番効果をなすという結果でした。

実際問題としては、遺伝要素や様々な生活環境が関係してきますが
是非、ご参考になさってみてください。

夜になると見えにくい。

「夜になると、視界がぼやけて見えにくくなる。」

昼間、明るいところでは問題なく見えるのに
暗いところだと、どうしても視力が落ちる気がしてならない・・
このような症状が出ている方はいらっしゃいますか?

通常、明るい場所から暗い場所へ入った場合
最初は何も見えませんが
次第に目が慣れてきて、だんだん辺りの物が見えるように
なってきます。

しかし、この暗順応がうまくいかず、暗いところで
物が見えるようにならないことがあります。

こういった症状を
「夜盲症(やもうしょう)」と呼んでいます。

夜盲症には先天性と後天性があります。

後天性の場合、ビタミンA欠乏症でも有名で、
急にこういった症状が出始めた!などという場合は
ビタミンAを意識して摂取することによって改善されます。
まずは栄養バランスの取れた食事を心がけましょう!

 

ところで、
人間の網膜には明るさを見分ける2種類の細胞があり
そのうち、暗いところで物を見る役割を果たす
桿体(かんたい)」細胞というのが存在します。

桿体細胞には、ロドプシンという色素があり
これは暗いところで物を判別する役目を果たします。
このロドプシンは、主にビタミンAなどで構成されているため、
ビタミンAが不足すると
暗いところでの視力の順応が上手くいかなくなります。
このため、夜盲症の症状が発症します。

しかし、正確な診断は先生の診察を受けないと分かりません。
網脈絡膜、視神経等が障害されればどんな疾患でも
夜盲症のような症状は起こりますので、早めの受診をオススメします。

コンタクトレンズを乱用すると、将来白内障の手術ができない場合も。

コンタクトレンズを使用する際、酸素透過率の高い製品を選ぶようにお話している理由に、「将来のことを考えて」という事が含まれます。

まず、角膜には角膜内皮細胞という六角形の細胞があり、物を見るために大変重要な役割をもっています。

角膜内皮細胞

(少し見えにくいかもしれませんが、角膜内皮細胞の写真です。クリックすると拡大します)

上の写真は、正常な角膜内皮細胞です。 ひとつひとつが小さくて綺麗な六角形をしています。対して下の写真は細胞の損傷が大きい例です。大きくて、形もいびつです。

コンタクトレンズの長期に渡る使用により角膜が酸素不足の状態になっていると、角膜内皮細胞が少しずつ損傷し減少していきます。

この細胞数が少ないと、白内障の手術後に視力が回復するまでに時間がかかったり白く濁ったまま視力が回復してこないケースもあります。そのため、角膜内皮細胞の数が少ない方は、手術自体ができないということになってしまします。

最初に将来の事を考えてと申し上げたのは、現在20~30代で学生時代からコンタクトレンズを無理して使っている。この先も現在の使用状況をかえりみずに使用したら、こういった事態を引き起こすことになるかもしれません。

角膜内皮細胞は、数日でどうなるというものではありません。今から使用方法を改めれば、減少し始めた角膜内皮細胞を守ることができるかもしれません。未来は変わるかもしれませんから、ご自身の目を大切にしてあげてください。

眼科で使用される目のお薬。

眼科でだれさる目のお薬といえば・・・目薬!!ですよね
でも、それだけではありません。
塗り薬や飲み薬も処方されることがあります。
それぞれ特徴が異なり、効果も違ってきます。
なぜ、このお薬が処方されたのか??
正しく理解して、正しく使いましょう~~

眼科で使用される主な目のおくすり

●点眼薬
目薬のことです。
誰もが一度は使用したことがあるのではないでしょうか?
白目や黒目、眼球表面、また、瞼の裏側などの
眼球前方の治療に使われます。

●眼軟膏
目に入っても大丈夫な塗り薬です。
目の周り、まぶたに塗って使用したり、
目の中に入れ、目の表面の病気にも使用します。
点眼薬よりも薬の成分が目の表面に長くとどまり、
効果が高くなります。
しかし、使用後に視界がくもって見えにくくなります。

●内服薬
飲み薬のことです。
目のお薬で飲み薬・・??
と思うかもしれませんが、点眼薬や軟膏では届かない、
目の奥、網膜や脈絡膜、視神経の病気の治療に使うお薬です。
点眼薬・眼軟膏の効果を補う際にも使われます。
胃や腸で吸収されたあと、血液の流れにのって、
病変部位に到達し作用します。

●注射薬や点滴薬
さくら眼科ではほとんど使用されませんが、
病気の急性期には、注射薬や点滴薬を使うこともあります。
病院で、医師や看護師が行ないます。

糖尿病の症状をチェックしてみましょう。

糖尿病にかかると、全身のコントロールが必要になります。
そして食事制限はもちろん、様々な合併症を生じる危険があると
以前よりお話させていただいています。
眼も失明する危険のある「糖尿病性網膜症」という合併症に十分注意して
いく必要があります。
(★過去の記事はコチラです

糖尿病かも・・と疑う症状として

  1. のどが渇いて水をよく飲む
  2. トイレに行く回数が多い
  3. 体が疲れやすい
  4. 立ちくらみや、体の痺れがある
  5. 食べても太らない

こういった症状が出ている場合は、一度検査を受けるほうが良さそうです。
糖尿病かどうかは、採血や尿検査の結果などで判断されます。

健康診断とかの採血検査の結果でも、ご覧になったことはあると思いますが、
★血糖値(空腹・随時・2時間値など)
★HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

この検査値の結果を見てみましょう。
特に、空腹時血糖値126以上で、さらにHbA1cの値も6.1以上である
糖尿病と診断されます。

 

糖尿病は4つの種類に分類され、
●1型糖尿病
●2型糖尿病
●遺伝等による糖尿病
●妊娠糖尿病

そのうち、約9割が「2型糖尿病」と診断されています。
これは、「肥満」に起因するといっても過言はないでしょう。
運動不足や食生活による内臓脂肪の増加が原因で起こっているようです。

常に、「消費カロリー>摂取カロリー」の状態を保てば、
この2型糖尿病の回避率は上がっていくことでしょう。

 

遺伝的に防げないものなどあったとしても、
自己防衛できるものに対しては気を引き締めて
糖尿病にならないよう、十分に生活習慣に気をつけたいものです。

ゴールデンウィークの臨時休診のお知らせ

 もうすぐ5月!!
ゴールデンウィークがやってきますね。
今年は最大8連休ぐらいでしょうか?
皆様のお休みは何日ぐらいあるのでしょうか??

さて、さくら眼科も5月のゴールデンウィーク中に臨時休診がございます。
ご確認の上ご来院をお願い致します。

5月ゴールデンウィーク中のお休み

                    5月3日(金)
        5月4日(土)
        5月5日(日)

※4月中は通常通り診療を行ないます。
※平日は夜7時まで、土・日・4月29日・5月6日の祝日は夜5時までの診療になります。

お薬やコンタクトレンズをご希望の方はお早めにご来院ください。

ゴールデンウィーク中、旅行などに出かける方も多いと思います。
旅先で、よくある目のトラブルについて・・・
海外へ行かれる方、目を水道水で洗ってしまってゴロゴロしたり充血したり・・・
日本の水道水でも、目を洗うのは適していないと言われています。
目薬をさすなどして、水道水の使用は控えましょう。
また、国によって水質も違うため、ハードレンズも水道水で濯ぐのは避けたほうが良いです。

コンタクトレンズをなくしてしまった・・・この問い合わせが最も多いです。
コンタクトレンズは医師の眼科健診をうけ、処方箋がでて初めて購入することができます。
ゴールデンウィーク中はお休みの病院も少なくありません。
救急の病院では、コンタクトレンズの処方箋を出してくれない病院も多くあります。
必ず予備のコンタクトレンズや眼鏡を持参するようにしましょう。

何かあったら早めに眼科を受診することが大切です。
眼科だけでなく、まんがいちに備え旅先での病院などのチェックもしましょう。

目の紫外線対策

そろそろ紫外線の強くなる季節がやってきました
目の紫外線対策は大丈夫でしょうか?
紫外線は白内障の原因になるお話や、
目から吸収された紫外線で、肌にしみができるお話など
たくさんしてきました。
また、UVカットつきのコンタクトレンズの紹介もしてきましたが、
一番手軽にできるのは、やっぱりサングラスではないでしょうか?
しかもUVカット効果がコンタクトレンズよりもずっと高いのです。
しかし、選び方を間違えてしまうとせっかくの効果が半減してしまいます。
今日は、紫外線対策用!!正しいサングラスの選び方をご紹介します。

まず最初に、UVカット加工がされていることをチェックしましょう!!
そんなの当たり前、と思いがちですが、
ファッション性の高いサングラス
UVカット加工がされていない物も多いのです。
UVカット加工がされていなければただのファッショングラスになってしまいます。
ここは、必ずチェックしましょう。
次に色です。
洋服など、白い色よりも黒い色のほうが
紫外線をカットしてくれる、とか良く聞きませんか?
サングラスもなんとなく、濃い色のほうが多く紫外線をカットしてくれそうな
イメージですが、薄い色を選びましょう。
目は明るい所では瞳孔が小さくなり、
逆に暗いところでは光を集めようと、瞳孔をひろげます。
濃い色のサングラスをすると、視界が暗くなり瞳孔が広がってしまうため
いつもより多く紫外線を吸収してしまうのです。
シーンに合わせた薄い色のサングラスにしましょう。
スキー場などの紫外線が強い場所では、ゴーグルタイプを!!
紫外線は反射して、下からも横からもやってきます。
特に雪山は、紫外線の反射率が高いので
ゴーグルタイプなどのサングラスで顔とサングラスの隙間を無くしましょう。

VDT症候群

目が重い、疲れるだけでなく「頭痛がする」「元気が出ない」「イライラする」「胃が痛い」「手足がしびれる」

風邪でもないのに、そんな症状が出てしまっている方はいませんか?

もしかしたらVDT症候群かもしれません。

VDT症候群は目の病気といわれていますが、症状は目だけにとどまらず、上述のように全身に出ます。VDT症候群とは、毎日長時間パソコンなどのディスプレイを
見続けるといった作業することにより目や体全体、さらには心に異常をきたす病気で、 テクノストレス眼症とも言われています。

はじめは、疲れているのかなという程度です。しかし、モニター画面などを見続けることにより目の毛様体筋の緊張が続き、目が疲れがひどくなっていきます。また、画面を見ている間は、瞬きをする回数が通常の1/4に減ると言われています。目の表面が乾き、ドライアイ症状を引き起こし目の痛みや視力障害につながることになります。

また、一点を同じ姿勢で見続けることにより血流障害を起こします。血流障害のため、手足がしびれたり体がだるくなったりといった全身に異常をきたす原因をつくります。気分が不快に感じたり感情のコントロールがしにくくなります。

では、このようなVDT症候群にならないようにするにはどうすればよいのでしょうか?

できることは、ともかくこのパソコンなどの作業から解放されることです。そこで簡単に「休憩を入れましょう!」「パソコンなどの画面を見るのをやめましょう」といえども、仕事をなさっている方にそんなことを言っても「無理がある!!」と非難をあびることでしょう。

しかし、「時間を減らす」ならいかがでしょうか。VDT症候群と診断されたら、まず行う治療は目の疲れをとることに限ります。限られた時間ではありますが、休憩時間中や帰宅してからなど リラックスタイムを作り、目を休ませてあげることが必要です。

また、体や心にまで症状が出ている方は治療が長期的になる傾向があります。ご自身では、この程度なと思う作業なども目にとっては負荷が掛かりすぎているという場合もありますから自己判断にたよらず、治療していきましょう。